光合成しない植物、新種発見=「ムジナノショクダイ」と命名―神戸大など
自ら光合成を行わない植物「タヌキノショクダイ」の仲間の新種を発見したと、神戸大学大学院理学研究科の末次健司教授らの研究チームが2日までに発表した。種の上のカテゴリーとなる「属」としても新しいことが認められた。ほとんどが地中に埋まっているため、地下をすみかとするムジナ(アナグマ)にちなんで「ムジナノショクダイ」と命名。論文は1日、日本植物学会誌(英語版)に掲載された。
タヌキノショクダイは、光合成をせずに土中の菌類から栄養を得て生きる植物で、ろうそく立てのような1センチ程度の花を咲かせるのが特徴。世界で約100種の報告があり、海外では「妖精のランプ」とも呼ばれる。日本で知られている6種のうち1種は絶滅が宣言され、他の5種も絶滅危惧種に指定されるなど、希少な植物としても知られている。
今回発見された新属新種は、植物愛好家が2022年6月に鹿児島県・大隅半島で発見。末次教授らが詳細に調べた結果、雄しべと雌しべの形状などにこれまでと異なる特徴があることが分かったという。
国内で新種の植物が発見されたのと同時に、新属としても認められたのは1930年以来。日本の植物調査は、植物学者の牧野富太郎氏の功績などから世界で最も進んでいると言われているが、末次教授は「今回の発見は日本の植物史上、約1世紀ぶりの快挙と言える」とコメントした。
[時事通信社]
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