2024-02-16 11:51社会

オンライン接見見送り=弁護士、引き続き実現求め―刑事IT

日弁連が入る弁護士会館=東京都千代田区
日弁連が入る弁護士会館=東京都千代田区

 逮捕状発付などの捜査過程を大幅にIT化させる刑事訴訟法の改正要綱が答申された。容疑者や被告と弁護士によるオンライン接見は議論の末に見送られたが、弁護士からは実現を求める意見が根強い。
 接見は現状、弁護士が警察署や拘置所に出向き、警察官らの立ち会いなしで行われる。日弁連で刑事手続きIT化プロジェクトチーム座長を務める田岡直博弁護士は「接見は容疑者にとって最も重要な権利。逮捕され、家族や職場に連絡するのも接見から始まる」と強調。逮捕後すぐにオンライン接見できれば、不当な取り調べを受けることも防げると指摘する。
 遠方に収容されている場合、弁護士はささいな伝言のため、移動に数時間費やすことがあるという。一部の拘置所では弁護士と被告が通話できる方法が取り入れられているが、「電話では姿が見えず、秘密性が保てない。過疎地では導入されておらず、ニーズに合ってもいない」と訴える。日弁連は今後も、オンライン接見を求める方針だ。
 一方、昨年11月に弁護士が広域強盗事件の容疑者と警察署で接見した際、第三者と通話させ証拠隠滅をした疑いで、警視庁から事務所の家宅捜索を受けた。警察庁幹部は「警察の接見室でもこうした事件が起きる。オンライン接見を認めるのは難しい」と話す。
 要綱には、捜査機関が令状に基づいてパソコンやスマートフォンの記録提供を命令でき、正当な理由なく拒否すれば1年以下の拘禁か300万円以下の罰金とする罰則も盛り込まれた。田岡弁護士は「保管期間や目的外使用禁止の規定がなく、国のデータベースができてしまう。捜査機関の権限拡大につながる大きな問題だ」と懸念を示した。 
[時事通信社]

最新動画

最新ニュース

写真特集