米、親イラン武装組織に報復=シリア・イラクの拠点空爆―民間人含む39人死亡
【ワシントン時事】米軍は2日、シリアとイラクで親イラン武装組織の拠点を空爆したと発表した。ヨルダンで米兵3人が殺害された無人機攻撃に対する報復で、中東情勢は一段と緊迫する可能性がある。中東からの情報によると、この攻撃でシリアとイラクでは、民間人を含む少なくとも計39人が死亡した。
米軍の発表によると、イランの精鋭部隊・革命防衛隊や親イラン武装組織が使用する武器庫など、7施設の85カ所以上が標的となった。米国から出撃したB1B戦略爆撃機を含む多数の航空機が参加した。
バイデン米大統領は声明で「米国は中東でも他の場所でも紛争を求めていないが、米国人に危害を加えるならそれに応じる」と表明。「今後もわれわれが選んだ時期と場所で継続する」と追加の報復攻撃を示唆した。
在英のシリア人権監視団によると、シリアでの空爆で少なくとも23人が死亡した。イラク首相府は、民間人を含む16人が死亡、25人が負傷したと発表した。イラク国営通信によれば、軍報道官は米軍の空爆を主権の侵害だと非難した。一方、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は記者団に「攻撃は成功した」と強調し、イラン国内への攻撃は行わない考えを示した。
ヨルダンの対イラク・シリア国境地帯で1月28日に発生した米軍拠点への無人機攻撃では、米兵3人が死亡、40人以上が負傷した。米政府は、イラクの親イラン武装組織の連合体「イラクのイスラム抵抗運動」による犯行だと断定していた。
昨年10月のイスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスの軍事衝突以降、イラクとシリアの親イラン武装組織は駐留米軍などに対する攻撃を160回以上繰り返していた。米軍はこれまでも反撃してきたが、今回の報復攻撃は最大規模となった。
[時事通信社]
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