御土居で障子堀を初確認=防衛施設裏付け―京都市
京都市埋蔵文化財研究所は2日、豊臣秀吉が築いた京都の市街地を囲む「御土居(おどい)」の堀部分に、敵の侵入を妨げる機能を持つ障子堀の特徴があることを初めて確認したと発表した。御土居は堤防や治安維持などの機能を持っていたと考えられているが、防衛施設であることが裏付けられたという。
障子堀は、堀底に畝状に盛り上がった部分が複数あるのが特徴。高低差を設けることで侵入した敵を足止めする役割があるとされる。
同研究所は昨年9月~今年1月、京都市南西部の御土居跡を発掘。二つの調査区で南北方向の堀が見つかり、いずれも底に畝状に盛り上がった部分が見られた。盛り上がった部分は北側の調査区では南北に1本と東西に5本、南側の調査区で東西に6本確認されたことから障子堀とみられるという。畝の間隔は2~3.5メートルと、7メートルの二つあり、堀は泥が厚く堆積していたことから水堀だったことも分かった。
御土居は土塁と堀から成り、豊臣秀吉が天下統一後の1591年に築造した。全長22.5キロで、築造により京都の「洛中」と「洛外」が初めて明確に分かれた。
中井均・滋賀県立大名誉教授(日本城郭史)は「障子堀は山中城や小田原城など北条氏が築いた城で多く用いられており、北条氏が滅亡した小田原城攻めの直後に造られた御土居で取り入れられていたのは興味深い」と話した。横田冬彦・京都大名誉教授(日本近世史)は「天下人になるためには朝廷のある京都をどう守るかが課題だった。障子堀は秀吉が天下人の威信を示すため、都の防衛を重視していたことを示している」と指摘した。
[時事通信社]
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