豊竹咲太夫さん死去、79歳=文楽太夫の人間国宝
人形浄瑠璃文楽の太夫(語り手)で人間国宝、文化功労者の豊竹咲太夫(とよたけ・さきたゆう、本名生田陽三=いくた・ようぞう)さんが31日午前2時57分、東京都内の病院で肺炎のため死去した。79歳だった。大阪市出身。
父は八世竹本綱太夫。1953年、9歳で父の師匠でもある豊竹山城少掾に入門し、竹本綱子太夫を名乗る。同年初舞台。66年に豊竹咲太夫と改名した。
公家や武士の世界を扱う時代物から、江戸時代の市井の人情を描く世話物まで、幅広い芸域で卓越した技量を発揮。チャリ場(滑稽な場面)も軽妙に語って聞かせた。得意演目に「心中天網島」などの近松門左衛門作品や「義経千本桜」など。若い頃からテレビやラジオに出演したり、歌舞伎俳優の坂東玉三郎さんと共演したりするなどし、文楽の普及に努めた。
2009年、太夫の最高峰で、物語の重要な場面を担当する「切語(きりがた)り」に昇格し、第一人者として後進の指導にも力を尽くした。
19年に人間国宝に認定され、21年に文化功労者に選ばれた。23年日本芸術院会員。
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