2024-01-30 15:32社会

那覇軍港、動きだす移設計画=返還は30年代末以降に―日米合意から50年・沖縄

米軍那覇軍港の浦添市移設
米軍那覇軍港の浦添市移設

 日米両政府が米軍那覇港湾施設(那覇市、那覇軍港)の全面返還に合意してから、30日で50年となった。沖縄県浦添市沿岸部への移設計画は、2022年に具体的な形状案が固まったが、28年度以降とされた返還は、最短でも30年代末にずれ込む。
 移設先に浦添市沿岸部が選ばれたのは1995年。地元が受け入れを表明したのは2001年だった。ただ、13年に移設反対を掲げた松本哲治市長が当選。同市長はその後容認に転じたが、景観などを考慮した独自の配置案を示すなど曲折を経て、20年に「これ以上足踏みは許されない」と現行案に同意した。
 県は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の県内移設を巡って政府と対立する一方、軍港移設では経済発展の観点から一貫して国と歩調を合わせてきた。防衛省は22年3月、「T字型」の形状案を提示し、同10月に県と那覇、浦添両市と合意した。
 ただ、県民の反対感情は根強い。移設先の海岸は、大型商業施設の正面に位置する浅瀬のサンゴ礁。沈む夕日を前に休日を過ごす家族連れの姿も多い。移設の是非が今後の知事選や市長選で争点となる可能性もあり、順調に進むかはなお不透明だ。
 また県は、移設により、日米合意で定められた軍港の機能が強化される懸念も抱いている。22年、米海兵隊は那覇軍港に輸送機オスプレイなどを飛来させた訓練を実施。米軍機が同軍港に飛来するのは1972年の本土復帰以降初とされ、県は使用目的から外れているとして抗議したが、防衛省は目的の範囲内だとし、見解は割れている。
 沖縄防衛局は昨年4月、埋め立て着手に向け、環境影響評価(アセスメント)の手続きを開始したが、2013年に「28年度以降」とされた返還は大幅に後ろ倒しとなる。埋め立て承認までに最低6年、着工から米側への提供手続き完了までに約10年かかるとされ、最短でも16年を要することになる。 
 
 ◇那覇軍港移設を巡る動き
1945年    米軍が占領、港湾を改良工事
  72年 5月 沖縄が本土復帰、米軍提供施設に
  74年 1月 日米両政府が移設を条件とする全面返還に合意
  95年 5月 日米両政府が移設先を浦添市に決定
2001年11月 浦添市の儀間光男市長が受け入れを正式表明
  13年 2月 浦添市長に移設反対を掲げる松本哲治氏が当選
  17年 2月 移設反対を撤回し、市独自の配置案を掲げた松本市長が再選
  20年 8月 松本市長が現行の北側案に同意
  22年 3月 国が「T字型」の形状案を提示
     10月 国と県、那覇、浦添両市が「T字型」に同意
  23年 4月 沖縄防衛局が環境アセスメントの手続きを開始
※肩書は当時

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