人口減、雇用や経済発展に影響=転換期迎えた中国
中国が本格的な人口減の時代に入った。2023年末の総人口は14億967万人と、2年連続で減少。高齢化も同時に進行しており、地方では若年層の流出も相まって企業が従業員の確保に苦悩する。人口を経済発展の原動力としてきた中国は転換期を迎えた。
◇進まぬ住宅建設
「優秀な若者は残らない」。工業団地が広がる四川省資陽市雁江区の公園で休んでいた50代の女性が打ち明ける。同市の人口は最近の10年間で1割以上減少。時事通信記者が約1年ぶりに訪れたマンションの建設現場は工事がほとんど進んでおらず、コンクリートの柱や梁(はり)が風雨にさらされていた。
市内で目立つのは高齢者の姿だ。隣接する省都・成都市へ若年層の流出が続き、人口の21%超が65歳以上の「超高齢社会」となっている。社会保障費が財政を圧迫しており、男性公務員は「給与がたまに支払われない」とこぼす。一方、企業関係者は「質の高い人材を雇えない」と嘆いた。
◇米国超えに黄信号
人口減のひずみはあらゆる分野に広がる。政府は23年、習近平指導部が育成を急ぐ自動車や半導体などの産業で人手不足が深刻化していると危機感をあらわにした。調査によると、ハイテク産業の4割超が人手不足に直面。共産党有力紙の光明日報は「人材争奪戦がますます激化する」と警鐘を鳴らした。
国連の推計では、中国の人口は50年に13億人強まで減る見通し。英シンクタンクは減少傾向を踏まえ、中国が国内総生産(GDP)で米国を抜いて世界トップに立つ予想時期をこれまでの28年から37年に遅らせた。一部では中国が米国を上回る状況は起きないとの見方も出ている。
◇出生率下げ止まらず
中国メディアによれば、1人の女性が生涯に産む子供の推計人数を示す合計特殊出生率は22年が1.09と、日本を下回る。「一人っ子政策」撤廃に加え、四川省が23年から婚外子の実質的な合法化に踏み切るなど各地で取り組みが強化されているが、効果は不透明だ。
人口学者の梁建章氏らは、合計特殊出生率を1.4まで引き上げるには、GDPの4%に相当する巨額の出産支援策が必要との試算を示した。北京市の30代の女性医療関係者は未婚化や晩婚化が進む中、「人口増に転じる未来をイメージできない」と話した。 (資陽=中国四川省=時事)
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