2024-01-19 20:08社会

安倍・二階派、在宅起訴=岸田派は略式、会計責任者ら―大野・谷川議員立件、7幹部見送り・東京地検

パーティー収入事件を巡る構図
パーティー収入事件を巡る構図

 自民党派閥の政治資金パーティー収入を巡る事件で、東京地検特捜部は19日、収入の一部を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で、最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)と「志帥会」(二階派)の会計責任者らを在宅起訴、「宏池政策研究会」(岸田派)の元会計責任者を略式起訴した。
 安倍派の「5人衆」と呼ばれる幹部の松野博一前官房長官、西村康稔前経済産業相、高木毅前党国対委員長、世耕弘成前党参院幹事長、萩生田光一前党政調会長や、事務総長経験者の塩谷立元文部科学相、下村博文元党政調会長の計7人については、会計責任者との共謀を認めるのは困難として立件しなかった。
 議員側では、安倍派から還流されたパーティー券販売のノルマ超過分を収支報告書に記載しなかったとして大野泰正参院議員(64)と秘書を在宅起訴、谷川弥一衆院議員(82)と秘書を略式起訴。二階俊博元党幹事長の事務所がノルマ超過分を派閥に納めず約3500万円を裏金化したとして、秘書を略式起訴した。
 自民党を揺るがす「政治とカネ」を巡る一連の事件は、7日に約4800万円の過少記載容疑で逮捕された衆院議員池田佳隆容疑者(57)を含む議員3人と秘書4人、派閥の職員ら3人が立件される事態となった。
 派閥で在宅起訴されたのは、安倍派会計責任者の松本淳一郎事務局長(76)と二階派会計責任者だった永井等元事務局長(69)。略式起訴されたのは岸田派の元会計責任者、佐々木和男元職員(80)。関係者によると、3人は任意の事情聴取に虚偽記載を認めたという。
 安倍派と二階派はパーティー券の販売ノルマを超えて集めた分を議員側に還流。複数の議員側はノルマ超過分を派閥に納めずプールしていた。
 起訴状によると、松本事務局長は清和政策研究会の、永井元事務局長は志帥会の2018~22年分の収支報告書に、それぞれノルマ超過分など計約6億7500万円と計約2億6400万円を収入として記載しなかったとされる。支出分と合わせた虚偽記載の総額は、それぞれ約13億5000万円、約3億8000万円。
 佐々木元職員は宏池政策研究会の18~20年分の収支報告書に計約3000万円を収入として記載しなかったとされる。
 大野議員は派閥から還流を受けるなどした計約5100万円を、谷川議員は約4300万円を関連政治団体の18~22年分の収支報告書に記載しなかったとされ、大野議員は不記載への関与を否認。谷川議員は認めているとみられる。 

 

 ◇パーティー収入事件を巡る経緯
2022年11月     大学教授が自民5派閥を刑事告発(23年1月まで)
  23年12月1日   安倍派パーティー収入の一部裏金化と議員側への還流疑惑浮上
     8~11日   裏金還流先として松野博一前官房長官ら安倍派幹部が浮上
             池田佳隆容疑者、大野泰正参院議員らも
       19日   東京地検特捜部が安倍派と二階派の事務所を家宅捜索
       27日   池田容疑者の議員会館事務所など捜索
       28日   大野議員の議員会館事務所など捜索
       29日   大野議員の地元事務所と自宅捜索
  24年 1月7日   池田容疑者と秘書逮捕
       19日   安倍・二階・岸田派の会計責任者や安倍派議員らに刑事処分
※関係者への取材や発表に基づく
 

 ◇検察が立件した国会議員(2000年以降、敬称略)
   年 議員      事件        主な罪名
2000 中尾栄一    建設省汚職     受託収賄
  01 村上正邦ら   KSD       受託収賄
  02 鈴木宗男    口利き汚職     受託収賄
  03 坂井隆憲    裏献金       政治資金規正法違反
  04 村岡兼造    旧橋本派ヤミ献金  同法違反
  10 石川知裕    陸山会       同法違反
  19 秋元司     IR汚職      収賄
  20 河井克行・案里 参院選大型買収   公選法違反
  21 遠山清彦    公庫融資違法仲介  貸金業法違反
  22 薗浦健太郎   政治資金過少記載  政治資金規正法違反
  23 秋本真利    洋上風力発電汚職  受託収賄
     柿沢未途    江東区長選買収   公選法違反
  24 池田佳隆    パーティー収入裏金 政治資金規正法違反
     大野泰正    同         同法違反
     谷川弥一    同         同法違反

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