安倍派解体、幹部除名論も=岸田首相、異例の3時間参加―自民
自民党が党所属の全国会議員に呼び掛けて開いた16日の政治刷新本部の第2回会合は、派閥解消論から安倍派幹部除名論まで「議論百出」となった。岸田文雄首相(党総裁)は政治改革への本気度を示そうと、約3時間に及んだ長丁場の会議に最後まで出席。ただ、意見集約を危ぶむ声も出ている。
「強い危機感を持って一致結束、事態に向き合わなければならない」。首相は冒頭、詰め掛けた約150人の議員を前にこう呼び掛けた。
議論が集中したのは菅義偉前首相が初会合で唱えた派閥解消の是非だ。無派閥の和田政宗参院議員らは「派閥を全廃すべきだ」と主張。森山派の田野瀬太道衆院議員らは「派閥そのものに悪はない」と反論し、賛否が「拮抗(きっこう)」(出席者)した。
派閥存続を前提に「政治資金パーティー禁止」「閣僚人事での推薦廃止」を求める意見も出た。麻生派の岩屋毅元防衛相は「閣僚・党役員は派閥を離脱すべきだ」と訴えた。
会合には事件の渦中にある安倍派の議員も多数出席。同派から裏金化を口止めされたと暴露していた宮沢博行前防衛副大臣は「安倍派は解散すべきだ」と主張。同派以外の議員からも「安倍派幹部が刑事責任を問われなければおかしい」「起訴されなくても党から除名すべきだ」など強硬論も上がった。
一方、党内では水面下の駆け引きも激しさを増している。派閥に所属しない中堅・若手は「無派閥連絡会」結成に向けた発起人会を18日に開く。参加者には菅氏と石破茂元幹事長(ともに無派閥)に近い議員が多く、将来の連携をにらんだ布石と見る向きもある。
無派閥若手5人は15日、菅氏と面会し「派閥はなくすべきだ」など、派閥領袖(りょうしゅう)が牛耳る執行部への不満をぶつけた。菅氏は「分かっている。ぜひ16日に言ってほしい」と奮起を促していた。
関係者によると、麻生派会長の麻生太郎副総裁は以前から首相に「派閥の功罪の『功』の部分を見てほしい」と述べ、派閥解消論をけん制。別の派閥領袖は無派閥連絡会の動きを「無派閥という名の派閥だ」と批判した。
この日の会合は公開された冒頭以外、会場となった党本部9階から記者が締め出された。執行部が対立表面化を恐れ、神経をとがらせていることをうかがわせた。首相は会合で「今月中には中間取りまとめを行いたい」と語ったが、党内には「意見集約を急げば亀裂を深めかねない」(関係者)として先送りを求める声もある。
[時事通信社]
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