2024-01-07 14:25国際

ガザ交戦、中東各地に波及=イランやレバノンでも緊張激化―ハマス連帯で挑発強める

 【イスタンブール時事】パレスチナ自治区ガザで3カ月に及ぶイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘は、中東各地へ波及しつつある。レバノンではイスラエルの関与が疑われるドローン攻撃でハマス有力幹部が死亡。イラクでは親イラン勢力がイスラエルを支える米国へ攻撃を激化させている。イスラエルと米国への強い反発は、中東の混迷がさらに泥沼化する懸念を招いている。
 レバノンの首都ベイルート南郊で2日、ハマス幹部サレハ・アルーリ氏が殺害された。同氏は2020年に米軍の空爆で殺害されたイランのソレイマニ革命防衛隊司令官や、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者ナスララ師とも親密で、「反イスラエル」「反米」の急先鋒(せんぽう)だった。
 イスラエル対外情報機関モサドのバルネア長官は3日、「殺人者がどこにいようが、必ず手にかける」と述べ、各国の批判をよそにハマス幹部殺害を各地で狙う意向を強調。一方、ヒズボラは「戦争を恐れない」と宣言し、暗殺後もイスラエルと攻撃の応酬が続く。イスラエルに抵抗する各地の勢力も報復を訴えた。
 イスラエルを敵視しハマスを支援するイランは、昨年12月に革命防衛隊の上級軍事顧問がシリアでイスラエルの空爆により殺害された。イラン南東部ケルマンで今月3日に起きた爆発は、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行を主張。背景は不明だが、ガザでの戦闘の間隙(かんげき)を縫う形でテロ活動が誘発された恐れもある。
 イエメンの親イラン武装組織フーシ派もハマスに呼応し、対イスラエル攻撃をやめる気配がない。4日には初めて無人水上艇で攻撃を仕掛け、国際海域で爆発させるなど威嚇を強めている。
 イランや親イラン勢力は米国とイスラエルに軍事力で劣るため、直接戦火を交える可能性は低い。米紙ニューヨーク・タイムズは3日、イラン最高指導者ハメネイ師が米国との直接的な軍事衝突を避けるよう指示したと報道。ただ、偶発的衝突で混乱が広がる可能性は排除できない。米シンクタンク戦争研究所は、イランなどの思惑は「米国とイスラエルに対し、緊張激化の能力と意思を誇示するためだ」と指摘しており、緊張の火種はくすぶりそうだ。 
[時事通信社]

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