年頭の激震、岸田首相「万全」期す=被害把握に課題
元日に発生した能登半島地震を受け、岸田文雄首相は非常災害対策本部会合を開催するなど初動に全力を挙げた。「人命第一」の対応を指示し、要請を待たずに実施するプッシュ型支援を表明。発災当日に古賀篤内閣府副大臣を現地入りさせて連絡に当たらせたが、被害の実態把握に手間取り課題を残した。
「関係省庁幹部の現地派遣を強力に行い、携帯電話事業者や公共交通関係者への明確な指示など対応を行っている」。首相は2日、防災服姿で記者会見に臨み、政府の取り組みをアピールした。
首相は先月29日から冬休みに入り、首相公邸で過ごしていたが、1日の地震発生の約1時間後に官邸へ出勤した。林芳正官房長官や松村祥史防災担当相らと協議し、石川県輪島市の坂口茂市長、珠洲市の泉谷満寿裕市長から電話で被害状況を聴取するなど6時間余り滞在。午後11時半すぎに公邸へ戻った。
2日は自身が本部長を務める対策本部で「政府の総力を挙げて被害状況の把握と初動対処に当たっている。先手先手の被災者支援をお願いする」と指示した。
首相が「先手」を意識するのは、自民党派閥の政治資金規正法違反事件などで強い逆風を受ける中、危機管理に万全を期して内閣支持率の回復に少しでもつなげたい思惑もあるとみられる。防衛省関係者は「首相は『やっている感』を求めている」と語った。
一方で被害把握は難航した。首相は2日午前10時すぎの会見で「死者4人、災害との関連を調査中の死者2人」と説明。石川県が死者30人を確認した後、林氏は午後3時半すぎの会見で、警察庁や総務省消防庁からの報告として「死者6人」と発表した。首相は「道路寸断のため能登半島北部への立ち入りが極めて困難な状況」と語った。
災害対応を担う村田隆内閣危機管理監は首相官邸に姿を見せなかった。官邸報道室によると、体調不良で入院しているためで、必要な報告は随時受けているという。林氏は会見で「あらかじめ危機管理担当の鈴木敦夫官房副長官補が万全の態勢で準備をしていた。政府の対応に支障はない」との認識を示した。
[時事通信社]
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