辺野古移設、国が初の代執行=地盤工事に来月着手―沖縄知事「著しい権限侵害」
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、斉藤鉄夫国土交通相は28日、県に代わって地盤改良工事の設計変更を承認する「代執行」を実施した。現行の地方自治法に基づく国の代執行は初めて。玉城デニー知事は「権限の著しい侵害だ」と批判したが、防衛省は来年1月12日にも新たな区域で作業を本格化させる方針だ。
岸田文雄首相は28日、首相官邸で記者団に「普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、基地負担の軽減を図るため全力で取り組みたい」と強調。木原稔防衛相も「全面返還に向けた一つの節目だ」と述べ、着実に工事を進める考えを示した。
埋め立ては、辺野古崎の南側約41ヘクタールでほぼ完了したが、軟弱地盤の広がる北側約111ヘクタールは着手できていない。防衛省は、海底に7万本余りのくいを打ちこんで地盤を固めつつ、護岸整備や埋め立てを進める計画。完成は約12年後と試算され、普天間飛行場の返還はそれ以降となる。
玉城知事は28日、県庁で記者団の取材に応じ、「国策の名の下に知事の権限を一方的に奪うことは、民意を踏みにじり地方自治の本旨をないがしろにするものだ」と強く反発。「莫大(ばくだい)な予算を投下してなお、この基地が一体いつ完成するのかも見えていない」と計画自体を疑問視し、政府に県との対話に応じるよう求めた。
[時事通信社]
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