駆け込み寺「人もお金も足りない」=性暴力相談右肩上がり、現場悲鳴
性暴力被害者の駆け込み寺として相談などに当たる現場が、人員不足と資金難に直面している。性被害に社会的関心が高まる中、相談は右肩上がりに推移し、現場では「人もお金も足りない」と悲鳴が上がる。
「民間病院では限界。公立病院にも診療体制を整えてほしい」。NPO法人「性暴力救援センター・大阪SACHICO(サチコ)」理事長の久保田康愛医師(59)はこう訴える。サチコは2010年、阪南中央病院(大阪府松原市)の産婦人科医だった加藤治子さん(74)が性暴力への包括支援が必要だとして、中心となって設立した。病院を拠点とする初のワンストップ支援センターで、相談から緊急避妊ピルの処方、ケアまでを行い、久保田さんが今年6月に加藤さんから理事長を引き継いだ。
これまでの相談は4231件に上り、10代以下が相談者の6割を占める。出会い系アプリや職場などで知り合った人からの被害が最も多く、中には加害者が実父や義父といった例も多いという。理事で看護師の生魚かおりさん(49)は「被害を何十年も抱えてやっと話せた人もいる」と語る。
対面相談は増加の一途だ。初年度は128人だったが、22年度は406人に達した。しかし、支援員は15人にとどまり、24年度からは医師の働き方改革で時間外労働の上限規制が適用される。近年は産婦人科医も不足し、被害者が転院を余儀なくされるケースも出ているという。国や府の補助金、寄付金ではやっていけないといい、久保田さんらは公立病院での診療体制整備を府に要望している。
NPO法人「大阪被害者支援アドボカシーセンター」(大阪市天王寺区)も事情は同じだ。府の要請で昨年、男性専用窓口も設けて月2回対応しているが、故ジャニー喜多川氏の問題が注目された今年は相談が目立って増えた。木村弘子事務局長(63)は「人やお金が足りない。需要が増えている中、寄付金などで賄う自助努力にも限界がある」と訴えている。
[時事通信社]
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