フィンランドに「ハイブリッド戦」=NATO入り受け移民送り付け―ロシア
ロシアのプーチン政権は、ウクライナ侵攻開始後に隣国フィンランドが北大西洋条約機構(NATO)に加盟したことを受け、対抗措置として国境地帯に中東出身の移民を送り付けているもようだ。危機をあおるため、軍事力と非軍事力を組み合わせた「ハイブリッド戦争」に着手したとの指摘がある。
移民を「武器」とする手法は2021年、ロシアの同盟国ベラルーシが20年大統領選に絡んで反体制派を弾圧した際、それを批判するポーランドとリトアニアに対しても用いられた。人権重視を掲げながら移民流入を嫌う欧州連合(EU)加盟国を混乱させ、強くけん制する狙いがある。
ロシア独立系メディア「フォンタンカ」によると、移民の出身国はシリア、イラク、イエメンなど。EU行きを希望して自転車でフィンランド国境地帯までたどり着いた建前だが、実際は母国からロシアやベラルーシへの航空便、国境手前までの車、そして自転車も含む「パッケージ旅行」であり、1人当たり2000~3000ユーロ(約32万~48万円)であっせんされているという。
こうした事態を受け、フィンランドは22日、1カ所を除き国境検問所を当面24日から12月23日まで封鎖すると発表。オルポ首相は、NATO入りに反発したロシアが「移民危機」を引き起こしたと訴えた。
米シンクタンク戦争研究所は今月20日の報告書で「ロシアは移民危機を人為的につくり出すため、(ベラルーシで)既に知られたハイブリッド戦術を採用している」と指摘。移民がわざわざ厳しい寒さの中で国境地帯にとどまるのは不自然で、「ロシアが何らかの形で関与している可能性が高い」と分析している。
[時事通信社]
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