北朝鮮が「衛星」発射=沖縄上空通過、被害なし―予告期間前、軌道投入確認されず
北朝鮮は21日深夜、人工衛星と称する飛翔(ひしょう)体を南方向に発射した。日本の消防庁は、沖縄県を対象に避難を求める全国瞬時警報システム(Jアラート)を発出した。沖縄上空を通過したと推定される。ミサイルの破壊措置は実施されなかった。防衛省関係者によると、船舶などへの被害は確認されていない。
宮沢博行防衛副大臣は記者団に「地球周回軌道への衛星の投入は確認されていない」と述べた。成功か失敗かは分析中とした。
韓国軍によると、北朝鮮の「軍事偵察衛星」は同日午後10時43分ごろ、北西部・東倉里から発射された。東倉里には「西海衛星発射場」がある。
岸田文雄首相は発射を受けて首相官邸に入った。記者団に「人工衛星と称したとしても弾道ミサイル技術を使用した発射は明らかに国連安全保障理事会決議違反だ」と非難。北朝鮮に厳重に抗議したと明かし、「国民の安全に関わる重大な事態だ。米韓、関係国と緊密に連携して対応を続けたい」と述べ、警戒監視と情報収集に努める考えを示した。
首相は関係省庁に対し(1)上空を通過したと判断される地域に重点を置き、落下物による被害がないか速やかな確認(2)北朝鮮の今後の動向を含め、情報収集・分析の徹底(3)米韓、関係国と連携し必要な対応の実施―を指示した。
北朝鮮による「人工衛星」打ち上げの予告期間は22日に始まる予定だった。松野博一官房長官は会見で「1発は、沖縄県上空を太平洋へと通過したと推定される」と述べた。政府は国家安全保障会議(NSC)を開催。松野氏はこの後発表した声明でロシアと北朝鮮の軍事協力の可能性も含め、情報収集・分析を徹底する考えを示した。
北朝鮮は5月と8月にも、「軍事偵察衛星」を打ち上げたが、いずれも失敗している。5月に浜田靖一防衛相(当時)が発令した破壊措置命令は現在も継続中で、防衛省・自衛隊はイージス艦や地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を展開し、迎撃態勢を取っている。
[時事通信社]
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