2023-11-08 18:33スポーツ

流れ変えた「湯浅の1球」=甲子園の熱狂味方に―プロ野球「虎の夢、結実」(下)

日本シリーズ第4戦の8回、球審に投手交代を告げる阪神の岡田監督(左)=1日、甲子園
日本シリーズ第4戦の8回、球審に投手交代を告げる阪神の岡田監督(左)=1日、甲子園

 1勝2敗で迎えた第4戦。同点の八回2死一、三塁のピンチで、阪神の岡田監督が球審に告げた投手の名前は「湯浅」だった。
 左脇腹のけがなどに苦しみ、1軍登板は6月15日以来。プロ4年目の昨季に飛躍を遂げ、最優秀中継ぎに輝いた24歳の登板に、甲子園は地鳴りのようなどよめきに包まれた。湯浅は中川圭にこん身の直球を投げ込み、1球で二飛に仕留めた。
 湯浅が日本シリーズで初のベンチ入りを告げられたのは、この日の練習前。しびれる場面で大歓声に後押しされ、「力に変えて抑えることができた」と感謝した。
 4カ月以上も1軍のマウンドを離れていた右腕を、なぜ勝負の分かれ目でいきなり起用したのか。岡田監督は「勝つために投げさせただけ」と説明した。ホームで後攻という有利な状況。勝ち越すチャンスはまだあると信じていた。「奇襲ではない。流れを変える必要はない。抑える投手を投げさせるだけやんか」。復活した右腕が、大舞台で本領を発揮できるという確信もあった。
 球場とベンチの雰囲気が一変することも、指揮官は想定。「沸くのは当然やんか」。地の利を生かした阪神は、大山のサヨナラ打で接戦を制した。
 対戦成績は五分に。悲願の日本一に向け、湯浅の1球で阪神が勢いに乗った。 
[時事通信社]

日本シリーズ第4戦の8回、ピンチを切り抜け、喜ぶ阪神5番手の湯浅=1日、甲子園
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