北極取材「今後も続けたい」=ボーン・上田賞の時事・出井氏講演
優れた国際報道に貢献したジャーナリストをたたえる2024年度の「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞した時事通信の出井亮太外信部編集委員(47)が22日、横浜市内で講演した。出井氏はロシアによるウクライナ侵攻がもたらした北極圏の分断や、大国間の覇権争いについて解説。「今後も北極圏取材を続けていきたい」と意気込みを語った。
出井氏は24年5~6月、北極圏のノルウェー領スバルバル諸島などで取材を行ったほか、同年8~9月には海洋研究開発機構(JAMSTEC)の海洋地球研究船「みらい」による北極航海に同行。関係国による資源争いや地球温暖化による影響を報じた。
出井氏は、北極圏における多国間協力が、「ウクライナ侵攻によってもろとも崩れ去ってしまった」と指摘。ロシアと北大西洋条約機構(NATO)加盟国が共存する一面も見られたスバルバル諸島の様相が一転し、「大国間競争の最前線に置かれることになった」と述べた。
また、侵攻下のウクライナでの現地取材が評価されて同賞を受賞した読売新聞の倉茂由美子ローマ特派員(42)も講演し、「人々の悲劇や叫び、戦争犯罪がなかったことにされてはならない」と力を込めた。
[時事通信社]
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