「首相の慣例」新たな火種=商品券配布、自民で常態化か

石破茂首相による自民党議員への商品券配布問題で、新たな波紋が広がった。配布は「歴代首相の慣例」だったとの発言が党内から飛び出し、自民政権下で常習的に行われていた可能性が浮上。配布の違法性を否定する首相の答弁も説得力を欠く。早期収拾を図りたい政府・与党の思惑は空回りしている。
「私は全てを存じていない。答える立場にもない」。17日の参院予算委員会で立憲民主党の石垣のり子氏から商品券配布は「慣例」かと問われた首相は、歯切れの悪い釈明に終始した。
「慣例」発言が飛び出したのは、首相のお膝元である鳥取県で16日に開かれた党県連の会合。夏の参院選で改選を迎える舞立昇治参院議員が商品券配布に関して歴代首相が「普通にやっていたこと」と述べた。
自民幹部は「疑惑を広げている」と不快感をあらわにし、発言の取り下げを指示。舞立氏は17日、「推測に基づく発言」だったと撤回した。だが自民関係者は取材に対し、第2次安倍政権以降のこととして「首相公邸での会合で20万円分の商品券が配られていた」と具体的に証言。自民ベテランも「いくらでもある話だ」と語るなど、「常態化」を複数の関係者が認めている。
17日の衆院政治改革特別委員会では、細川政権の首相秘書官だった成田憲彦氏が参考人として出席し、商品券配布について「全くなかった」と説明。橋本政権で首相秘書官を務めた立民の江田憲司氏も「断固としてなかった」と潔白を訴えた。
計150万円分の商品券を「ポケットマネー」で賄ったとする首相の主張にも、疑いの目が注がれる。首相は、今回以外にも「両手で数えて足りるか足りないか」の回数で商品券を配ったと説明。自民内ですら「仮に150万円分を10回配れば1500万円。首相はそんなに裕福だったのか」との声が上がる。
共産党の小池晃書記局長は予算委で、石破政権でも官房機密費(内閣官房報償費)の巨額支出が続いていると指摘し、機密費が原資になったとの見方を示した。これに首相は「(原資ではないと)証明できないからクロだとするなら、それは自由だ」と詳しい説明を拒んだ。
政治資金規正法が禁じる「政治活動に関する寄付」に当たると迫られると、首相は「お前は世間話しかしてはならん、という話だ」と半ば感情的に反論。自民議員との懇談会場が公邸だったことに関しては「本当は居酒屋でも使いたい」と語った。
報道各社が商品券問題の発覚後に行った世論調査で、内閣支持率は軒並み急落した。満足な説明を尽くせない首相に、与党からいら立ちも募る。小泉進次郎元環境相は17日、記者団に「自民は国民感覚から離れていると改めて思わせてしまった。説明すべきは首相だ」と語った。
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