「第2のタトゥー」欧米拡散=ロシア少女デュオに批判と擁護
ウクライナ侵攻を続けるロシアで、12歳の少女2人組の歌が人気を博している。子供向けの曲が中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を通じて欧米に拡散し、米ビルボードのダンス音楽部門で7位に。2000年代初頭に世界的ヒットを飛ばした女性デュオになぞらえ、「第2のタトゥー」と呼ばれ始めた。
曲は昨年10月発表の「シグマボーイ」。日本の小学生に当たるベツィ(本名スベトラナ・チェルティシチェワ)さんとマリア・ヤンコフスカヤさんが熱唱し、SNSで国境を容易に越えて若者らの心をつかんだ。歌詞は、「型にはまらない格好いい男性」の隠語「シグマボーイ」をひたすら繰り返し、「女の子はみんな君と踊りたい」などのフレーズを挟んでいる。
欧州では、対立するロシアの歌謡曲人気に警戒の声も。ドイツ選出の欧州連合(EU)欧州議会議員は「親ロシアのプロパガンダ」と断じ、禁止すべきだと主張する。曲はそもそも保守的なロシアで賛否両論だったが、西側からの批判に「ロシア嫌いにも程がある」(ザハロワ外務省情報局長)、「ソフトパワーで世界に勝った」(スルツキー下院外交委員長)と擁護論が強まった。
2人の「快挙」はロシアで、戦争やインフレで暗い世相の裏返しのように連日報じられている。あるDJが「私の曲の盗作だ」と訴えたほか、ロシア正教系の活動家が「性的」だとして最高検に捜査を求めるなど、社会現象と化している。
折しもプーチン大統領は今月3日、ロシアが排除された欧州音楽祭「ユーロビジョン」に代わり、ソ連時代に東側が開いた「インタービジョン」を年内に復活させる大統領令を出した。伝統的価値観を重視するイベントになるとみられ、少女2人が登場するかは不透明だが、どちらも欧米による「ロシア文化拒否」にあらがう動きと言えそうだ。
[時事通信社]
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