ホヤに原始的な「神経堤」=胚から頭部、細胞追跡で確認―甲南大など日米チーム
ヒトや魚などの脊椎動物の胚(受精卵)にあり、脳を含む頭部に成長する「神経堤(てい)」と呼ばれる組織が、脊椎動物に最も近いホヤにも原始的な形で存在することが分かった。米プリンストン大と甲南大、中部大などの日米研究チームが胚の細胞を追跡する実験で確認し、23日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
実験対象は日本などの浅い海に生息し、全遺伝情報(ゲノム)が解読されている「カタユウレイボヤ」。成体は海底に固着して植物性プランクトンなどをえらでこして食べるが、胚から幼生に成長した段階ではオタマジャクシのような姿で泳ぎ、頭部に中枢神経系や目などがある。
ヒトの胚で神経堤に異常が生じると、腸を動かす神経細胞がない「ヒルシュスプルング病」などの難病や褐色細胞腫などの原因となる。甲南大の日下部岳広教授は「ホヤを神経堤の研究モデルに活用すれば、先天性疾患のメカニズム解明に役立つ」と話している。
神経堤はこれまで脊椎動物にしかないと考えられてきたが、プリンストン大のマイケル・レビン教授らが2012年にホヤにも原始的な形で存在すると提唱。研究チームは今回、カタユウレイボヤの胚で神経堤とみられる細胞を特殊な蛍光たんぱく質で見分けられるようにし、顕微鏡で神経前駆細胞などに変わっていく様子を観察して確認した。
脊椎動物の神経堤は頭骨にも変わるが、ホヤでは変わらず、進化の道筋が分かれたと考えられる。日下部教授は「カンブリア紀初期(約5億2000万年前)の地層からはホヤや魚に似た動物の化石が見つかっている」として、ホヤと脊椎動物の祖先は約6億年前に分かれたとの見方を示した。
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