イスラエル、ヒズボラ指導者を殺害=レバノン首都で本部空爆―攻勢強化、全面衝突の恐れ
【エルサレム時事】イスラエル軍は28日、隣国レバノンの首都ベイルート南郊で27日にイスラム教シーア派組織ヒズボラの本部を空爆し、指導者ナスララ師を殺害したと発表した。組織を長年率いたナスララ師の死亡は、通信機器の一斉爆発や大規模空爆に続き、ヒズボラに大きな打撃となる。ヒズボラや後ろ盾イランの対応次第では、イスラエルとの全面衝突に発展する恐れがある。
イスラエル軍は声明で「住宅地の地下につくられた本部で、ヒズボラのイスラエル市民へのテロ活動が進められていた」と主張。ナスララ師を「多くのイスラエル人の殺害、世界中でのテロ攻撃の責任者」と糾弾した。同師のほか、幹部や司令官も空爆で死亡したという。ヒズボラもナスララ師の死亡を確認した。
27日の攻撃は、イスラエルがレバノンに侵攻した2006年以降で最大規模のベイルート空爆とみられる。イスラエルのネタニヤフ首相は訪問先の米ニューヨークで攻撃を承認。27日の演説では「残忍な殺人者から身を守る必要がある」と述べ、米国や日本などが提案した一時停戦を否定する姿勢を見せた。
レバノン保健省は、空爆で少なくとも6人が死亡、91人が負傷したと明らかにした。犠牲者は今後増える可能性がある。
イスラエル軍は28日もベイルートや南部、東部などで空爆を継続。ヒズボラも地対地ミサイルやロケット弾で反撃し、攻撃の応酬が一段と激しさを増している。軍は28日、本土防衛などのため予備役の3大隊招集を発表した。
ヒズボラは昨年10月、パレスチナ自治区ガザからイスラエルを奇襲したイスラム組織ハマスとの連帯を掲げ、イスラエルに対する越境攻撃を繰り返してきた。イスラエル軍は今月に入ってヒズボラへの攻勢を強めており、ネタニヤフ氏は「全力でヒズボラへ攻撃を続ける」と主張。レバノンへの地上侵攻も排除していない。
[時事通信社]
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