岸田文雄首相襲撃事件(2023年4月15日) (39/39)
爆発物投げ入れ前後の状況 岸田文雄首相の遊説先で爆発物が投げ込まれた事件で、警護について検証していた警察庁は1日、「警護計画には、危険物を所持した者を首相に接近させないための実効的な安全対策がなかった」とする報告書をまとめた。政党側に屋内開催を促すなどの対策も盛り込んだ。 報告書によると、県連から4月7日、県警に対し岸田文雄首相が漁港で演説を行うとの連絡があった。12日に県警本部の警備課長や署長ら10人と、県連・漁協関係者約10人による合同現地調査が行われた。 県警は聴衆最前列から演説台まで10メートル以上の距離を確保するよう要請したが、県連側が難色を示し、約5メートルに設定された。県連側は、参加者は漁協関係者約200人で、他に広く参加を呼び掛けないと説明。実際は14日に自民党サイトに和歌山市の漁港で演説する告知が出たが、県警は気付かなかった。捜査関係者によると、木村隆二容疑者宅にあったパソコンには、同サイトを検索した履歴が残っていた。 県警は漁協関係者以外の入場を防ぐため、識別措置を求めた。県連関係者は水色ジャンパーを着て、スタッフ役の漁協関係者は青色リボンを着けることになったが、配偶者や親族については顔で識別するとされた。 県警は聴衆エリアの入り口に受付を設置することや、金属探知検査の実施を求めたが、県連側は聴衆が漁港関係者に限られるとして、いずれも実施しなかった。 15日午前11時17分ごろ、首相が漁港に到着。木村容疑者は約1分後に着き、同19分ごろにはコーン標識とバーで囲われた聴衆エリアの入り口付近で待機を始めた。同じ頃、警護員ではない人物がバーを取り外したので警護員がバーを戻そうとしたところ、3人がエリア内に入場。木村容疑者は3人に続いて入場口に近づき、その後に侵入した。警護員も識別役の漁協関係者も気付かなかったという。(2023年06月01日) 【時事通信社】