核兵器禁止条約22日発効 50カ国・地域で効力
【ニューヨーク時事】核兵器の保有や使用をはじめとした幅広い活動を違法化する核兵器禁止条約が22日発効する。核兵器保有国や日本など、安全保障で核抑止力に頼る国は条約に加盟しない方針。非加盟国に効力は及ばないため、現状では核軍縮に向けた条約の実効性は乏しい。核保有国に道義的圧力をかけ、具体的な行動につなげられるかが今後の課題となる。
条約は昨年10月までに批准した50カ国・地域で、各地の現地時間22日午前0時に発効する。昨年12月に新たにアフリカのベナンが批准書を国連に寄託しており、同国での発効は条約に基づき90日後の3月11日となる。ボズクル国連総会議長は今月15日の記者会見で、「条約が軍縮・不拡散の国際的枠組みを保証、強化するものとなることを期待する」と述べた。
条約は、核軍縮交渉の停滞に不満を募らせた非保有国が主導し、2017年に122カ国・地域の支持を得て採択された。核保有国は交渉に参加せず、核軍縮に向けた具体的な手続きは条約に盛り込まれなかった。条約採択を受け、核保有国と非保有国の溝は一層深まっている。
一方、「自国第一」の姿勢が強かったトランプ米政権に対し、バイデン次期政権はロシアとの新戦略兵器削減条約(新START)延長や、イラン核合意復帰の意向を示しており、新政権発足で「軍縮交渉を取り巻く状況は改善する」(国連関係者)とみられている。今年8月に延期された核拡散防止条約(NPT)再検討会議の成功に向けても、追い風になるとの期待もある。
核禁止条約発効後、1年以内に第1回締約国会議が開かれ、会議の手続き規則などについて話し合う。詳細は未定だが、条約制定の中核的推進国オーストリアがウィーンでの開催に意欲を示している。締約国会議には条約に加盟しない国も参加可能で、核保有国と非保有国の「橋渡し役」を自任する日本がオブザーバー参加するかどうかも注目される。(2021/01/20-07:12)
U.N. Nuclear Ban Treaty to Take Effect on Fri.
The U.N. treaty to ban the production, possession and use of nuclear weapons will take effect on Friday.
The treaty will come into force that day in 50 countries that ratified it by October. Led by nonnuclear weapons states frustrated with long-stalled disarmament talks, it was adopted in 2017 with support from 122 countries.
"I hope that the Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons can serve as another instrument to safeguard and strengthen the international nonproliferation and disarmament architecture," U.N. General Assembly President Volkan Bozkir told a press conference on Friday.
But the treaty is unlikely to accelerate nuclear disarmament effectively as nuclear powers did not join the process. Concrete steps toward nuclear disarmament were not included in the treaty.
Nuclear powers and Japan, which rely on nuclear deterrence, have no plans to sign the treaty, which has no binding force against nonsignatory countries. The adoption of the treaty has even widened the gap between nuclear haves and have-nots.
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