2020.11.07 13:34Nation

奈良公園のシカ、餌求め山へ 市街地にも出没、観光客減影響

 新型コロナウイルスによる観光客の減少により、奈良公園(奈良市)のシカの行動が変化している。鹿せんべいをもらえなくなったシカが木の実などの餌を求め、観光客が集まる公園中心部から山林部へ移動。市街地での目撃情報も増え、商店の売り物が食べられるなどの被害も出ている。
 山林部と中心部からなる同公園の敷地は約511ヘクタールと広大で、天然記念物のシカ約1300頭が生息。年間約1300万人が訪れる人気スポットだ。
 北海道大などの調査では、中心部で6月の昼に確認されたシカの数は、コロナ拡大前の1月の昼に比べ約3割減少した。
 一方、コロナの影響が広がった2月以降、山林部に向かうシカは増加。同大の立沢史郎助教(保全生態学)は「観光客の鹿せんべいに依存していたシカが自然の植物に目を向け、中心部を離れた」と分析する。
 奈良市によると、緊急事態宣言中(4月16日~5月14日)に公園を訪れた日本人観光客は、前年同期比85%減少。4月の市内への訪日外国人旅行者はほぼゼロだった。
 周辺の畑や花壇が荒らされるなど市民生活にも影響は出ている。「パンジーなどの鉢が30個ほど荒らされた」と被害を訴えるのは、公園近くで生花店を営む50代男性。7~8月にかけてはほぼ毎日、店の近くでシカを目撃したという。県によると、シカに関する被害の相談は4~10月で36件に上り、昨年度の24件を既に上回っている。
 立沢助教はコロナによるシカの行動の変化について、「人に依存せず自然の餌を食べるなど、本来の姿に戻っている」と評価する。ただ、冬が深まると山林部の餌も少なくなり、観光客が回復しなければ体力のないシカが死ぬ恐れもあるという。
 周辺住民らへの影響についても、「街に出るシカが増えれば、(車との衝突など)交通事故が増える可能性もある」と懸念を示している。(2020/11/07-13:34)

2020.11.07 13:34Nation

Epidemic Brings Behavioral Changes to Nara Park Deer


A decrease in visitors to Nara Park due to the novel coronavirus epidemic has brought about changes in the behavior of deer based in the park in western Japan.
   Nara Park deer, usually fed with rice crackers by sightseers in the central area of the park in the city of Nara, are moving to the park's woody area for tree nuts and other food in line with declines in the number of food-bearing visitors.
   Also, they are increasingly spotted in city areas. Some shops have reported that their products were eaten by deer from the park.
   Some 1,300 deer, which enjoy special protection as a national treasure, live in the 511-hectare park. The park usually has some 13 million visitors annually.
   According to researchers mainly from Hokkaido University, the number of deer reported during daytime in June in the park's central area was some 30 pct below the January level before the spread of the virus.

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