自動車学校教習にＡＩ　指導員負担軽減へ、全国初―福岡

　福岡県大野城市にある自動車学校が、人工知能（ＡＩ）を活用した運転指導を試験的に始めた。走行した経路や速度、ドライバーの目線などをＡＩが解析し、運転技術を評価する。自動車学校が運転技術評価にＡＩシステムを導入するのは全国で初めて。高齢者向け講習の増加が見込まれる中、指導員の負担軽減や評価基準の適正化を狙う。
　システムを導入したのは、同市のミナミホールディングス（ＨＤ）が運営する南福岡自動車学校。自動運転システム開発会社のティアフォー（東京都品川区）やブレインフォー（名古屋市）と共同開発し、１０月から運用を開始。当面は営業車を持つ企業向けの講習で使用する。
　教習車のルーフには、光を照射して周囲と車との距離を計測する装置を設置し、ドライバーが走行した経路や速度、車線変更のタイミングを測定する。車内にはカメラを設置し、顔の動きや目線を把握。これらのデータを解析して、ＡＩが運転技術の評価を算出する。運転終了後には、車内のタブレットに改善点の動画が表示される。
　開発の背景には高齢者ドライバー講習の需要増がある。７０歳以上のドライバーは３０年前と比べ約１０倍の１１３０万人に増えており、２０２２年には免許更新時、一部の高齢ドライバーへの運転技能検査が導入される。一方、全国の指定自動車学校はこの１０年間に１００校近く閉校しており、今後の指導員の負担増が懸念されている。
　このためミナミＨＤは、２２年を目標に新規免許取得向けの講習にもＡＩシステムを導入したい考えだ。運転技術の評価はＡＩが担い、指導員は教習生の性格に合ったアドバイスなど「人間にしかできない仕事に集中することができる」（同社）という。江上喜朗社長は「人とＡＩ、二つがあって新しい価値が生まれる」と、今後の展開に期待を示している。（2020/10/21-07:09）

A driver's school in Onojo, Fukuoka Prefecture, southwestern Japan, has started using an artificial intelligence-based system on a trial basis to evaluate students' driving skills.
   It is the first time for a driver's school in Japan to introduce such a system for evaluating driving skills. The AI technology analyzes a variety of data, including the route the vehicle traveled and its speed, as well as movements of the driver's eyes.
   Such a system is expected to reduce instructors' workload and ensure appropriate evaluation amid increasing demand for driving lessons for elderly drivers.
   This month, Minami Fukuoka Driver's School, operated by Onojo-based Minami Holdings, introduced the AI-based system, developed jointly by Tokyo-based Tier IV Inc. and Brain IV Inc., based in Nagoya, Aichi Prefecture, central Japan, both of which develop systems for autonomous driving.
   The school plans to use the system in lessons for workers of companies related to the use of company vehicles, for the time being.