公開の声高まる司令部壕　沖縄戦の戦跡、首里城地下に―戦後７５年

　沖縄戦から７５年がたち、保存が困難な戦跡が増える中で、首里城（那覇市）の地下に建設された旧日本陸軍の第３２軍司令部壕（ごう）の公開を求める声が高まっている。県は安全性などを理由に「公開は困難」としていたが、今年度中に専門家を交えた検討委員会を設置し再検討に動きだす。
　第３２軍は太平洋戦争末期の１９４４年、沖縄戦を指揮する目的で創設。司令部壕は、旧日本陸軍が首里城から本島南部へ撤退する４５年５月まで使われた。その後、たびたび公開が検討されたが、乾燥による損傷や岩盤の崩落を防ぐため、現在まで一般公開はされていない。
　９０年代後半、壕の公開を検討した委員会で委員長を務めた瀬名波栄喜名桜大名誉学長（９１）は「後世の人が想像できるよう、沖縄戦を目に見える形で残さなければ、悲惨さが分からなくなってしまう」と危惧する。
　昨年焼失した首里城の再建計画は進むが、地下に眠る壕の公開構想は頓挫している。瀬名波さんは「壕は歴史の証言者。平和の象徴としての首里城と、戦争の歴史を語る地下壕との対比を見てほしい」と訴える。
　ただ、公開には難しい点もある。６０年代に２度、公開を模索して掘削調査が行われたが、いずれも落盤が発生したため復元を断念。安全に見学できるようにするには莫大（ばくだい）な費用が見込まれることもあり、玉城デニー知事は「現状では困難」との認識を示している。
　一方で、県は改めて、土木工学だけでなく多方面の専門家の意見を聞き、公開可能な方法を検討することにした。玉城知事は「一つでも残せるものを残し、平和とは何かを学べる場所を考えたい」としており、今年度中に本格的な議論を始める予定だ。（2020/08/14-05:17）

-With battle sites becoming harder to preserve 75 years after the brutal Battle of Okinawa, calls are growing to open to the public a local bunker used by the now-defunct Imperial Japanese Army.
   The Okinawa prefectural government has decided to consider once again whether to put the site on public view, though it previously maintained such a move is difficult partly due to safety concerns.
   The bunker was built as the command headquarters for the defunct military's 32nd Army in Naha, Okinawa Prefecture. The unit was formed in 1944 in the final stages of the Pacific War, part of World War II, to lead the Japanese military operations in the southernmost prefecture.
   The Battle of Okinawa claimed 200,000 lives, including civilians and Japanese and U.S. soldiers. Local residents and students were also mobilized for the operations to delay a land battle on mainland Japan.
   The underground command headquarters, located under Shuri Castle, was used until May 1945, when the Imperial Japanese Army retreated to the southern Okinawa Island.