五輪公式グッズ、業者苦悩 延期「商機」と攻勢も
開催を1年後に控えた東京五輪。新型コロナウイルスの影響による大会延期は、公式グッズ関連業者にも影を落とす。業者らは売り上げ減に苦しむが、大会までの1年間を商機と捉え、新商品開発などに取り組む動きもある。
大会組織委員会によると、「組市松紋」の大会エンブレムなどが入った公式ライセンス商品は、6月末時点で約6360種類。各地のさまざまな伝統工芸品も多く含まれる。組織委は「オンラインショップの売り上げは順調」と強調するが、公式商品を販売するオフィシャルショップは、新型コロナの影響で銀座店など6店が閉店。延期前から決まっていたケースもあり、8月中にはさらに17店が閉店となる。
「二重どころか三重、四重の、いろんな苦悩があった」。公式グッズの一つ「白河だるま」を手掛ける「白河だるま総本舗」(福島県白河市)14代目、渡辺高章さん(28)は今春のコロナ禍を振り返った。
白河だるまは、顔の中に「鶴」「亀」「松竹梅」が描かれた縁起物として知られる。観光地向けの商品提供が多いため影響は甚大で、4月の売り上げは前年同月比8割減に落ち込んだ。店頭に置いた公式グッズも、「五輪が遠くなったので関心が低くなった」ため、売り上げは低迷している。
それでも販路開拓などに取り組んだ結果、業績には回復の兆しが見えている。来年4月には新たな観光施設をオープンさせる予定で、「公式グッズを新店舗で大々的に扱える。だるまのように転んでも起き上がる」と意気込む。
「幸か不幸か、商品を提供できる時間が増えた」。約50年にわたり江戸扇子を作り続ける「扇子工房まつ井」(東京都江戸川区)の松井宏さん(73)は、年内の販売開始に向けた公式商品の新作を考案している。松井さんは「アスリートは競技で、われわれは伝統工芸品で五輪に参加する。(来年の開催は)できる」と、自らに言い聞かせるように力強く語った。
同社が作った扇子などの販売促進を手掛ける「マイスタープロモーション」(同)の三村英夫社長(70)は、「世界の模範になるようなコロナ対策を講じ、来年は本当に開催してほしい」と要望した。(2020/07/25-13:19)
Tokyo Games Postponement Hits Olympic Goods Makers
The one-year postponement of the 2020 Tokyo Olympics due to the coronavirus pandemic has hit makers of official goods in Japan, including traditional crafts.
There are some 6,360 official licensed goods as of the end of June, according to the games' organizing committee.
Six official stores selling the merchandise have closed due to the pandemic, and 17 more closures will happen next month.
"We've had lots of struggles," Takaaki Watanabe, the 14th-generation head of a daruma doll marker in Shirakawa in the northeastern prefecture of Fukushima, said of the pandemic. Its products are one of the licensed goods.
The company, Shirakawa Daruma Sohonpo, saw its sales in April plummet about 80 pct from a year before, according to Watanabe, 28.
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