2019.10.02 08:47World eye
自由の代償に失った家族…トルコに逃れたウイグル人たち
【イスタンブールAFP=時事】トルコ・イスタンブールに住むアブドラ・ラスルさん(35)は、中国・新疆ウイグル自治区に住む家族とほとんど連絡をとっていない。自分の父親が死んだことが分かるまで3か月もかかった。(写真はトルコ・イスタンブールで、AFPのインタビューに応じるアブドラ・ラスルさん)
ラスルさんは、自分から連絡を取ることで故郷の親族が当局から監視される恐れがあることを知っている。監視ですまないこともありうる。この状況は、中国から逃れた他のウイグル人らも同様だ。
ラスルさんは、限られた連絡手段を使ってようやく断片的な情報を手に入れたが、その内容はゾッとするものだったという。
中国ではフェイスブックがブロックされている上、ワッツアップなど他のアプリを使っていることがばれれば、恐ろしい反動が待っている。
ラスルさんはAFPの取材に「最後に知らせを受けたのは2018年5月だった。母、二人の姉妹、長兄はみんな再教育施設に送られたと言われた」と語った。その時、トルファン市に住む父親が地元当局に面会に呼ばれ、そのすぐ後に亡くなったことも教えられた。
中国は近年、新疆の主にイスラム教徒でチュルク語を話す少数民族ウイグル人に対する弾圧を強めている。人権保護団体や専門家は、ウイグル人やその他のイスラム系少数民族ら100万人以上が施設に収容されているとみている。
中国政府は当初、こうした「職業訓練施設」の存在を否定していたが、今ではその存在を認め、宗教的過激主義者とテロリズムとの戦いに必要であると主張している。
■トルコのウイグル人
貿易業を営むラスルさんはAFPに、2017年5月に父親から受け取った最後の動画を見せてくれた。
動画の中の父親は、ラスルさんに全てうまくいっていると話している。しかし、神経質そうにあたりを見回すしぐさからは、誰かに監視されているのではと不安に感じている様子も見て取れる。
「(1年後)私は、地元当局が父を『お茶』に招待したと聞かされた。中国ではこれは招待された人になにか重大な問題があるということを意味する」
「話を終えた父は当局の施設を後にした。その後、数百メートル離れた場所で死んでしまった」
新疆政府と中国外務省はAFPの取材に回答しなかった。
ラスルさんのような話は、トルコに逃れてきた何万人ものウイグル人にとって珍しい話ではない。トルコは中国の怒りを買う危険を冒してもウイグル人を受け入れている唯一のイスラム教国だ。
イスタンブール郊外セファキョイにはウイグル人の経営するカフェや店、商店が立ち並ぶ。ここは、ウイグル人が数多く集まる場所となっている。
新しくオープンした格闘技のジムに集まった多くの人は、文化を守ろうとし、励まし合っていた。ある日の夕方、ジムはあらゆる年齢の子どもでいっぱいになった。多くは親がビジネス上の理由でトルコに移住していた子どもたちで、親たちは中国に帰郷した時に拘束されたため、子どもだけがイスタンブールに取り残されてしまったのだった。
ジムの開設を手伝った男性は、「ここには親と一緒ではない子どもが多い。親たちは中国で再教育施設に入れられているか、トルコに戻ってこられないかのいずれかだ」と話した。
ウイグル人の多くは2014~16年に、中央アジアと東南アジアのルートをたどってトルコに逃れてきた。セファキョイのウイグル人が経営するカフェで、AFPが取材した人々は自らの悲惨な脱出の話を語ってくれた。取材した全ての人は中国による弾圧が強化された2017年前後から家族と連絡が取れていないと語った。
■新しい絆
イスタンブールの大学でウイグル経済を教えるブルハン・サイティ教授は、どのようなメッセージも送ることは「不可能だ」と指摘する。「もし親族らに連絡を取れば、中国政府は彼らを強制収容所に連れて行くだろう」
国を離れたウイグル人は、家族と連絡が取れなくなるという大きな代償を支払った。だが、彼らは逃れてきた地で絆を再構築しようとしている。
ジムでキックボクシングを教える男性は、「私の周辺の人はみんな家族と連絡が取れない。それが私たちを結束させている。これは私にだけに起こっていることではなく、ウイグル人全員が経験していることだ」と語った。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2019/10/02-08:47)
ラスルさんは、自分から連絡を取ることで故郷の親族が当局から監視される恐れがあることを知っている。監視ですまないこともありうる。この状況は、中国から逃れた他のウイグル人らも同様だ。
ラスルさんは、限られた連絡手段を使ってようやく断片的な情報を手に入れたが、その内容はゾッとするものだったという。
中国ではフェイスブックがブロックされている上、ワッツアップなど他のアプリを使っていることがばれれば、恐ろしい反動が待っている。
ラスルさんはAFPの取材に「最後に知らせを受けたのは2018年5月だった。母、二人の姉妹、長兄はみんな再教育施設に送られたと言われた」と語った。その時、トルファン市に住む父親が地元当局に面会に呼ばれ、そのすぐ後に亡くなったことも教えられた。
中国は近年、新疆の主にイスラム教徒でチュルク語を話す少数民族ウイグル人に対する弾圧を強めている。人権保護団体や専門家は、ウイグル人やその他のイスラム系少数民族ら100万人以上が施設に収容されているとみている。
中国政府は当初、こうした「職業訓練施設」の存在を否定していたが、今ではその存在を認め、宗教的過激主義者とテロリズムとの戦いに必要であると主張している。
■トルコのウイグル人
貿易業を営むラスルさんはAFPに、2017年5月に父親から受け取った最後の動画を見せてくれた。
動画の中の父親は、ラスルさんに全てうまくいっていると話している。しかし、神経質そうにあたりを見回すしぐさからは、誰かに監視されているのではと不安に感じている様子も見て取れる。
「(1年後)私は、地元当局が父を『お茶』に招待したと聞かされた。中国ではこれは招待された人になにか重大な問題があるということを意味する」
「話を終えた父は当局の施設を後にした。その後、数百メートル離れた場所で死んでしまった」
新疆政府と中国外務省はAFPの取材に回答しなかった。
ラスルさんのような話は、トルコに逃れてきた何万人ものウイグル人にとって珍しい話ではない。トルコは中国の怒りを買う危険を冒してもウイグル人を受け入れている唯一のイスラム教国だ。
イスタンブール郊外セファキョイにはウイグル人の経営するカフェや店、商店が立ち並ぶ。ここは、ウイグル人が数多く集まる場所となっている。
新しくオープンした格闘技のジムに集まった多くの人は、文化を守ろうとし、励まし合っていた。ある日の夕方、ジムはあらゆる年齢の子どもでいっぱいになった。多くは親がビジネス上の理由でトルコに移住していた子どもたちで、親たちは中国に帰郷した時に拘束されたため、子どもだけがイスタンブールに取り残されてしまったのだった。
ジムの開設を手伝った男性は、「ここには親と一緒ではない子どもが多い。親たちは中国で再教育施設に入れられているか、トルコに戻ってこられないかのいずれかだ」と話した。
ウイグル人の多くは2014~16年に、中央アジアと東南アジアのルートをたどってトルコに逃れてきた。セファキョイのウイグル人が経営するカフェで、AFPが取材した人々は自らの悲惨な脱出の話を語ってくれた。取材した全ての人は中国による弾圧が強化された2017年前後から家族と連絡が取れていないと語った。
■新しい絆
イスタンブールの大学でウイグル経済を教えるブルハン・サイティ教授は、どのようなメッセージも送ることは「不可能だ」と指摘する。「もし親族らに連絡を取れば、中国政府は彼らを強制収容所に連れて行くだろう」
国を離れたウイグル人は、家族と連絡が取れなくなるという大きな代償を支払った。だが、彼らは逃れてきた地で絆を再構築しようとしている。
ジムでキックボクシングを教える男性は、「私の周辺の人はみんな家族と連絡が取れない。それが私たちを結束させている。これは私にだけに起こっていることではなく、ウイグル人全員が経験していることだ」と語った。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2019/10/02-08:47)
2019.10.02 08:47World eye
For Uighur refugees, freedom means losing family
Abdullah Rasul has so little contact with his family in China that it took three months for him to find out that his father was dead.
Like other Uighur refugees from northwest China, Rasul, 35, who now lives in Istanbul, knows that making contact with relatives back home risks them coming under greater scrutiny from the authorities, or worse.
The snippets of news he manages to receive through the restricted communication channels are terrifying, he says.
Facebook is blocked in China, and relatives fear repercussions if caught using other apps such as WhatsApp.
The last news I got was in May 2018. I was told my mother, two sisters and elder brother were all sent to a re-education camp, he told AFP.
It was also when he was told his father, a village elder in Turpan city prefecture, had died shortly after a meeting with local authorities.
I don't have news on my other brothers and sisters.
In recent years, China has cracked down on the Uighur community, a mostly Muslim and Turkic-speaking minority in the northwestern Xinjiang region.
Rights groups and experts say more than one million Uighurs and people of other mostly Muslim ethnic minorities have been rounded up in internment camps in the tightly-controlled region.
After initially denying their existence, Beijing now defends the camps, which it calls vocational education centres, as a necessary measure to counter religious extremism and terrorism.
- Turkish refuge -
Rasul, an import-export trader, showed AFP the last video message he received from his father, in May 2017.
He tells his son everything is fine but is nervously looking around, suggesting he feels that he is being watched.
(A year later) I was told the local government sent him an invitation to 'drink tea', which in China means they have serious questions for you, Rasul said.
After the meeting, my father left the government office. A few hundred metres (yards) down the road, he passed away.
The Xinjiang government and foreign ministry did not respond to questions from AFP.
Rasul's story is far from unique among the estimated tens of thousands of Uighurs, who have taken refuge in Turkey, the only Muslim-majority nation to have risked China's wrath by supporting their cause.
With a handful of Uighur cafes, shops and businesses, the Istanbul suburb of Sefakoy has become a hub for the community.
At a new martial arts club, members try to keep their culture alive and spirits up.
On a recent evening, the gym was packed with children of all ages, who took a moment to pray before launching into energetic workouts.
Many have parents who moved to Turkey for business reasons, only to be detained during return trips to China after the clampdown, leaving their children stranded in Istanbul.
We have a lot of children who don't have their parents. They are back home, either in camps or cannot travel to Turkey, said Semerjan Saidi, 31, who helped set up the gym.
Saidi has not spoken to his own family since 2016, after they asked him to cut off contact, sensing the situation was about to worsen.
They knew something was going to happen, they just didn't know how bad, he said.
- Escape -
Many refugees fled China between 2014 and 2016 when smuggling routes for Uighurs through Central and Southeast Asia were particularly active.
At a Uighur-run cafe in Sefakoy, where locals gather for milkshakes and games of chess, several people told AFP their harrowing stories.
One lost a baby to a fever while fleeing through Vietnam and was so afraid of attracting attention that they buried the child on the side of the road and kept moving.
All the group said they had been unable to speak to their families since the crackdown intensified in 2017, and sometimes before that.
Mahmoud Tavekul, 46, said that he had not seen his wife or four children since leaving the city of Kashgar, in Xinjiang, in 2014.
His brother had been sentenced to life imprisonment over claims he supported independence for the region, and Tavekul faced endless hassle from the authorities, he said.
His hope to later bring out his family never materialised.
I have no information about my family. The authorities made them remove me from WeChat, he said, of China's most popular messaging service.
In 2016, I heard from a friend that my wife had been taken into the camps, he added, saying there had been no news since.
- 'Something good' -
Burhan Saiti, a Uighur economics professor teaching in Istanbul, said that it was impossible to send any kind of message.
If we try to contact our relatives, the Chinese government takes them to concentration camps, he said.
The lack of contact has taken a heavy toll on many but they have tried to rebuild a sense of community in exile.
Because all the people around me can't contact their family, it brings us together. It's not only happening to me, but for all Uighurs, said Saidi, overseeing a kickboxing class at the gym.
I think if I can do something for these children that don't have their family, then maybe somebody is doing something good for my family there.
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