日航機事故への思い胸に 予約変更で生き延びた男性死去
1985年に乗客乗員520人が犠牲になった日航機墜落事故。この123便に乗るはずだったものの、直前に予約を変更して助かった男性が亡くなった。「自分の身代わりになった人がいる」との思いを持ち続けた男性は、変更後の航空券をプラスチックのカバーで覆い、いつも手元に置いていた。
男性は横浜市青葉区の西山徹さん。3月19日未明に心不全のため死去、80歳だった。電子部品会社に勤め、音響機器メーカーでは役員も務めた。
妻の史子さん(79)は「どんな小さな部品、たった一つでも日本全国どこへでも直接届けに行った。帰って来たと思ったら、また出張。がむしゃらに働いたのは、自分の代わりに犠牲になった人に申し訳ないという思いがあったのでは」と振り返った。
18年ほど前にかかった喉頭がんのため声はかすれ、10年余り前には緑内障で両目の視力を失った。「それでも常に前向きだった」と長女の内藤由美子さん(49)は話す。退職すると事故のことを思ってか、大学の社会人コースで仏教を学んだ。毎朝、ラジオのニュースに耳を傾ける日課も欠かすことはなかったという。
兵庫県丹波篠山市の実家に帰省するため、事故が起きた123便の予約を取ったものの、急な出張で出発日を85年8月9日に変更した。34年余りの時を経て、棺おけに納められた羽田発大阪・伊丹行きの航空券は、西山さんと共に天国に旅立った。
葬儀で経を読んだ曹洞宗の僧侶は、日航機事故をめぐる話に感銘を受け、犠牲になった見ず知らずの人のために祈ることができる清らかさという意味を込め、戒名には「清」という字を入れたという。(2020/04/05-07:10)
Man Who Escaped 1985 JAL Crash Dies
A man who narrowly escaped the 1985 crash of a Japan Airlines jet as he changed flights just before the accident and thus did not took the doomed plane has died, at the age of 80.
On the afternoon of Aug. 12, 1985, JAL Flight 123 bound for Osaka International Airport in western Japan went out of control 12 minutes after leaving Tokyo International Airport at Haneda and crashed into the Osutaka ridge in the village of Ueno, Gunma Prefecture, eastern Japan, claiming the lives of 520 of the 524 passengers and crew members.
Constantly thinking that someone else died for him in the crash, the man, Toru Nishiyama, had always kept with him the boarding pass for the flight he took after the change of schedule.
Nishiyama, a resident of Aoba Ward in Yokohama, the capital of Kanagawa Prefecture, south of Tokyo, died of heart failure in the small hours of March 19. He worked at an electronic parts maker and served as an executive of an audio equipment maker.
Recalling her husband, Nishiyama's wife, Fumiko, 79, said: "He went anywhere in the country to directly deliver even only one component, no matter how small it is. As soon as he returned home, he left for another business trip. I think he continued work hard as he felt sorry for the someone else who died for him."
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