2020.03.11 07:39Nation

発送電、来月分離 電気料金引き下げ促進―大震災後の改革総仕上げ

 原発など「発電部門」を抱える電力大手から、企業や家庭に電気を届ける「送配電部門」を切り離す「」が4月に実施される。送配電部門の中立性を高めることで、異業種から参入した「新電力」と電力大手が送配電網を公平に利用できるようにし、電気料金の引き下げを促すのが狙いだ。東日本大震災後、国が進めてきた「電力システム改革」の総仕上げとなる。
 「電力大手の反発は強かった。よくここまで来たと思う」。元経済産業省幹部はに至るまでの経緯を振り返り、しみじみと語った。従来は全国10地域ごとに、電力大手1社が発電、送配電、小売りの3部門を一貫して担う地域独占体制だった。安定的な電力供給に寄与したとみられる半面、経営の効率化を阻み、電気料金の高止まりを招いた。
 2000年代初頭、海外に比べ割高な電気料金を引き下げ、企業の国際競争力を高めるため、経産省は改革派の村田成二事務次官(当時)が旗振り役となり、を主張した。これに対し、電力業界は「電力の安定供給を損ないかねない」と激しく抵抗。政治力も使ってを阻止した。
 議論が再燃したのは震災後だった。電力業界の盟主、東京電力(現)が福島第1原発事故を起こして実質的に国有化され、業界の発言力が低下。東電管内の顧客からも、同社以外の電気を使いたいという声が強まった。これを受け、電力システム改革が進み、16年4月に電力小売りが全面自由化された。
 その後、都市ガスなどの新電力は割安な料金をアピールし、電力大手と激しい顧客争奪戦を展開。経産省によると、全国の家庭用小売市場に占める新電力のシェアは19年9月時点で17.2%。全面自由化1年後の17年4月(4.7%)から12.5ポイント上昇した。東電管内の首都圏は競争が最も進み、新電力のシェアが4分の1を占める。
 で、送配電部門は発電・小売り部門を抱える電力大手本体の子会社となる。中立性を維持するため、両社間の人事交流を制限し、取締役の兼務なども原則として禁じた。来月には、経営規模が小さく分社化の対象外となった、既に分社化した東電の2社を除く大手8社と電源開発が新体制に移行する。
 新電力は販売促進の好機と捉えている。首都圏で電力小売り事業を手掛ける鉄道大手は「あらゆる手段で顧客数を増やしたい」(広報担当)と強調する。電気料金に値下げ圧力がかかりそうだ。
 ただ、これまでの競争で、既に料金の引き下げ余地は狭まっているとの見方も強い。首都圏で東電からシェアを奪ってきたは「低価格には限界がある」(幹部)と漏らす。同社は今後、電気とガス、防犯、家事代行などのサービスをセットにしたプランの販売を強化する方針。迎え撃つ東電側も「シェアを挽回できても収益が悪化したら本末転倒だ」と指摘しており、過度の安売り競争とは一定の距離を置く考えだ。(2020/03/11-07:39)

2020.03.11 07:39Nation

9 Years On: Japan to Complete Post-Fukushima Power System Reform


Japan is slated to complete next month its electricity system reform, nine years after the country's worst nuclear accident at the tsunami-stricken Fukushima No. 1 nuclear power plant.
   The reform will be capped off with the separation of power transmission and distribution operations from major power utilities, which is expected to facilitate competition in the retail power market further, following its full liberalization in April 2016.
   The government has been pushing ahead with the electricity system reform amid "strong resistance from power giants," a former senior industry ministry official said. "We've managed to come this far."
   In Japan, 10 regional power utilities used to enjoy monopolies from power generation to retail in their respective service areas. The regional monopolies appeared to be helpful for stable electricity supply but hampered efforts to improve business efficiency and kept electricity prices elevated.
   In the early 2000s, the industry ministry sought to realize the separation of the power generation and grid operations, led by then Vice Minister Seiji Murata. But the power industry crushed the initiative through lobbying and other measures, insisting that the reform step could threaten stable power supply.

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