食卓に「オレンジショック」　果汁が品薄、価格高騰

　家庭でおなじみのオレンジジュース。原料の果汁はほぼ全量を輸入に頼っているが、オレンジ生産国での自然災害や病害発生で供給不足に陥り、円安の進行も加わって価格が高騰している。果汁を確保できない国内メーカーは相次いでジュースの販売を休止。かつてない「オレンジショック」が食卓を覆っている。
　財務省の貿易統計を基に計算すると、冷凍濃縮オレンジ果汁の平均輸入価格は２０２１年に１リットル当たり２９３円だったが、２３年には円安の影響もあり５５０円に上昇。２４年１～３月期はさらに上がって７０６円となった。５月には国際指標となる米インターコンチネンタル取引所の先物価格が史上最高値を更新、値上がりの勢いは止まらない。
　背景には、オレンジの主要生産国ブラジルで発生した干ばつや大雨、果樹の病害がある。米国のハリケーン被害も深刻で、世界的な供給不足が起こった。日本の場合、２０年に３０８４万リットルだった冷凍オレンジ果汁の輸入量は、２２年には１７７０万リットルまで急減した。
　２３年には３７３８万リットルに回復したが、２１、２２年の輸入量が少なかった影響で、オレンジ果汁の国内在庫は不足状態が続く。
　果汁不足を受け、国内大手メーカーのアサヒ飲料（東京）はオレンジジュースの販売を２３年に一部停止、雪印メグミルクも既に一部休止している。森永乳業も６月以降に取りやめる予定で、同社の担当者は「心苦しいが、果汁の供給が安定しない中での販売継続は困難」と顔を曇らせる。
　今後、オレンジ果汁の価格はどうなるのか。商品先物に詳しいマーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘代表取締役は、「５～７月のエルニーニョ現象の影響にもよるが、少しずつ低下する」との見方を示す。一方、ある果汁専門商社は「ブラジルでは今季も不作が避けられず、２５年の末端価格は現行の約２倍まで上昇するとの覚悟が必要だ」と危機感をあらわにする。　

【訂正注記】本文５段落目「国内大手メーカーのアサヒ飲料（東京）はオレンジジュースの販売を２３年に停止、雪印メグミルクも一部休止した。」を「国内大手メーカーのアサヒ飲料（東京）はオレンジジュースの販売を２３年に一部停止、雪印メグミルクも既に一部休止している。」に訂正しました。（６月２日）（2024/06/01-20:30）

An unprecedented orange juice crisis is hitting consumers in Japan due to supply shortages caused by natural disasters and a fruit tree disease in orange-producing countries.
   Supply shortages have forced many Japanese makers to suspend sales of orange juice products.
   In addition to the supply shortages, the yen's depreciation is also blamed for the recent surge in orange juice prices in Japan, which relies almost entirely on imported orange juice.
   The average import price of frozen concentrated orange juice shot up from 293 yen per liter in 2021 to 550 yen in 2023 and 706 yen in January-March 2024, according to estimates based on the Japanese Finance Ministry's trade statistics.
   The upward momentum in orange juice prices shows no signs of abating. On the U.S. Intercontinental Exchange, the key frozen concentrated orange juice futures contract hit an all-time high in May.