2024.03.04 13:31Nation

被災地「教育旅行」が本格化 伝承施設の訪問者最多―風化対策、観光振興も・東北3県

 東日本大震災の教訓を全国の子どもたちに伝えようと、岩手、宮城、福島の東北3県では、被災地を巡る教育旅行の誘致を本格化させている。2023年には3県の伝承施設への来場者数が過去最多を記録。震災の風化を防止するとともに、観光振興にもつなげるための模索が続く。
 伝承活動に取り組む個人や団体でつくる「3.11メモリアルネットワーク」によると、23年には3県の33施設・団体に約156万人が訪れ、前年(約118万人)の1.3倍に上った。
 岩手県では、県内の子どもたちに震災の教訓を伝える活動が続く。内陸の住田町にある有住中学校1年の10人は23年12月、陸前高田市の「東日本大震災津波伝承館」を訪れた。
 「いつ、どこで災害が起こるか分からない。自分の命を守ることができるか展示を通して考えて」。解説員の説明に、生徒たちは真剣なまなざしで聴き入った。
 沢田彰弘副館長(55)は「旅先で災害に遭遇する可能性もある。伝承館を通じ、そういった場合に備えることを学んでほしい」と訴える。
 南海トラフ地震で大きな被害が予想される静岡県。県立静岡商業高校の硬式野球部員約40人は23年12月、「震災の記憶を風化させたくない」という顧問の思いから、宮城県南三陸町の伝承館「南三陸311メモリアル」を訪れた。
 館内のラーニングプログラムでは、部員同士が日ごろの防災意識について意見を交わした。2年の栗田輝空さん(17)は「予想をはるかに超える震災の怖さを実感した。日ごろから備えることの大切さも学んだ」と話した。
 震災に加え、東京電力福島第1原発事故の影響が今なお残る福島県では、被災地域の復興の歩みを学ぶ教育旅行を「ホープツーリズム」と名付け、観光業の振興にも取り組む。県は、修学旅行や部活動などで県内を訪れ、バスを利用する学校に経費を一部補助。県内を訪れる人はコロナ禍の落ち込みから反転し、22年度に過去最多となった。(2024/03/04-13:31)

2024.03.04 13:31Nation

13 Years On: Hard-Hit Prefectures Encouraging Learning about Disaster


To remind people of the lessons from a massive earthquake and tsunami in northeastern Japan 13 years ago, officials in the hard-hit prefectures of Iwate, Miyagi and Fukushima are working to encourage educational visits to areas stricken by the disaster.
   Officials in the prefectures are racing to keep the March 11, 2011, disaster from being forgotten, while also promoting tourism.
   Thirty-three memorial museums in the three prefectures were visited by a record high of about 1.56 million people in 2023, up 1.3-fold from a year earlier, according to 3.11 Memorial Network, a nonprofit organization.
   In December, 10 junior high school students from Sumita in inland Iwate visited the Iwate Tsunami Memorial Museum, located in the city of Rikuzentakata.
   "You don't know when or where a disaster will happen. Please think about this through the exhibition," a museum staff member told the students.

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