岩手、AI導入で防災・減災強化 災害時に架電、住民情報集約―被災地で運用、企業も参入・震災13年
東日本大震災から間もなく13年。岩手県内の被災地では防災・減災を強化するため、人工知能(AI)を導入したり、活用を模索したりする動きが広がっている。AI搭載の監視カメラを開発し、防災につなげようとする企業もある。
震災で死亡・行方不明が計1807人に上った陸前高田市。災害時に防災無線の音声が届かず、SNSも利用していない情報弱者への避難情報の伝達が課題となっている。
市は昨年11月、自動音声で住民に対し一斉に架電をする「オートコール」とAIを組み合わせ、避難状況を把握するシステムの本格運用を全国で初めて開始した。津波や大雨の際、事前に電話番号を登録した高齢者や要支援者らに避難情報を発信。「避難しますか」などと音声が流れ、住民が現在地やけがの有無を口頭で答えると、AIが文字に変換し、災害対策本部に情報を集約する仕組みだ。
災害時は電話回線が不通になる恐れもあるが、「支援が必要な人と迅速に連絡が取れる体制として広まれば」と、市防災課の中村吉雄課長(51)は期待を示す。
防災事業を手がけるIT企業「ヴィシュヌ」(盛岡市)は、潮位変化や避難指示が出ている場所に人が残っていないかなどの「異常」を検知する、AI搭載の監視カメラを開発中だ。津波の被害を受けた釜石市や地元土木会社と協定を結び、港湾や道路沿いにカメラを設置。現在は開発に向け、データを収集している。避難者の属性や人数を分析するAIカメラを開発して避難所に設置し、ニーズに合った支援物資を届けられるようにする構想も持つ。
釜石市では震災の際、水門を閉めに行き津波の犠牲になった人がいたり、市民の避難状況が把握しきれなかったりするなどした。市防災危機管理課の川崎浩二課長(54)は「防災対策の手段を増やしたい」と話し、AIの活用を模索する。
ヴィシュヌの千葉涼介最高経営責任者(31)も「情報を収集して連携できるのがAIの良いところ。(災害時に)欲しい情報を早く正確にリアルタイムで届けるために、引き続き研究開発していく」と意気込んでいる。(2024/02/26-07:07)
13 Years On: AI Eyed in Disaster Prevention in Northeastern Japan Pref.
Efforts to use artificial intelligence to beef up disaster prevention and mitigation measures are spreading in areas in Iwate Prefecture hit by the powerful earthquake and tsunami on March 11, 2011.
The massive disaster 13 years ago left a total of 1,807 people dead or missing in the city of Rikuzentakata in the northeastern Japan prefecture.
A challenge for Rikuzentakata is to convey evacuation information to residents who would face difficulties receiving voice messages from the city's emergency wireless system in times of a disaster and those who do not use social media.
The city in November last year launched at full scale a system combining AI and a program in which residents receive automated phone calls all at once, in order to understand their evacuation situation, becoming the first municipality in Japan to do that.
Under the new system, the city alerts residents who have registered their phone numbers in advance, mainly elderly people and others in need of help when evacuating, in the event of a tsunami or torrential rain.
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