2024.03.02 07:09Nation

半導体工場、新増設ラッシュ 補助金4兆円が呼び水―経済安保で高まる重要性

 日本各地で半導体工場の新増設ラッシュが続いている。半導体は電子機器や人工知能(AI)など幅広い分野で使われ、経済安全保障上の重要性が高い。政府は安定供給のため、工場誘致に2021~23年度で計4兆円規模の補助金を確保。かつて隆盛を誇りながら衰退した日本の半導体産業は、巨額の補助が呼び水となって大きな転換点を迎えている。
 次世代半導体の国産化を目指すラピダス(東京)が、北海道千歳市での工場建設を表明してから約1年が経過した。昨年9月に着工し、25年4月の試作ライン稼働と、27年の量産開始に向け工事が進む。
 ラピダスは、回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)と世界最先端の微細な半導体の量産を計画。半導体開発で出遅れた日本にとってハードルは高く、同社は米IBMの研究拠点に約100人を派遣して技術習得を進めている。
 「日の丸半導体」の復活を後押しするため、政府は計3300億円の補助を決め、追加支援も行う方針だ。ラピダスの東哲郎会長は「うまくいかないとはみじんも考えていない」と自信を示す。斎藤健経済産業相は2月27日、衆院予算委員会の分科会で「失敗が許されないプロジェクトだ」と強調した。
 半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、熊本県菊陽町に建設した日本初の工場を年内に稼働させる。同県内では年内に第2工場も着工。総投資額は計約3兆円で、経産省は1兆2080億円を支援する。
 半導体大手キオクシア(東京)と米ウエスタンデジタルは、共同運営する三重県四日市市と岩手県北上市の工場で、記憶用半導体の生産に7200億円超を投じる。米マイクロン・テクノロジーも広島県東広島市の工場増強を決定。台湾の半導体受託製造大手の力晶積成電子製造(PSMC)とSBIホールディングスは、宮城県大衡村に工場を建設する計画だ。
 半導体産業が活況を呈する一方、技術者の人材不足が深刻化している。大規模工場の稼働では、道路や工業用水など関連インフラ整備も欠かせない。斎藤経産相は「半導体産業の復活や国内生産基盤の構築はまだ道半ばだ」と語り、腰を据えて支援する方針を示している。(2024/03/02-07:09)

2024.03.02 07:09Nation

Japan in Midst of Semiconductor Plant Construction Rush


Japan is in a construction rush to build and expand semiconductor plants, aided by the government's drive to revive the industry that lost the global lead decades ago.
   Used in products ranging from electronic devices to artificial intelligence systems, semiconductors play a key role in national economic security.
   In order to secure a stable semiconductor supply, the government set aside a total of 4 trillion yen between fiscal 2021 and fiscal 2023 for subsidies for helping companies build semiconductor plants in the country.
   Thanks to the massive subsidies, the industry is on the verge of making a clear turnaround after decades in the doldrums.
   Last year, Tokyo-based chipmaker Rapidus Corp., which aims to manufacture next-generation semiconductors in Japan, announced that it would build a plant in the northern city of Chitose, Hokkaido.

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