2024.02.18 07:11Business

宇宙事業、拡大に弾み H3、コスト削減課題―三菱重工

 新型ロケット「H3」2号機の打ち上げ成功を受け、三菱重工業は宇宙事業の拡大に弾みをつけたい考えだ。衛星打ち上げ需要は世界的に急増しており、ロケットの打ち上げは成長が見込める有望分野。米欧のライバルの背中は遠く、売上高はまだ年500億円前後にすぎないが、コスト競争力を強化し市場への食い込みを狙う。
 H3は、三菱重工が宇宙航空研究開発機構(JAXA)の下で開発を進める新型ロケット。現行の「H2A」と同様、開発完了後は技術移転を受け、三菱重工が製造や打ち上げサービスを担う。
 開発ではコスト削減に重点を置き、打ち上げ費用をH2Aの半額の50億円程度に引き下げることを目指している。3Dプリンターによる一体成形で部品数を減らしたほか、割安な車載用電子部品を積極活用した。
 コストを下げていくには打ち上げ回数の増加も必要となる。三菱重工は、民間受注の獲得で年6回以上は実施したい考えで、既に米衛星通信サービス大手から発注を受けている。徳永建・宇宙事業部技師長は「早期のサービス開始を望む声が来ているので、早く対応したい」と意気込む。
 打ち上げ後の記者会見で、江口雅之執行役員は「円安も追い風に国際競争力のある製品にしたい。打ち上げを増やし、売り上げを2~3割は増やしたい」と述べた。
 だが、行く手には、打ち上げサービスでしのぎを削る米欧勢が立ちはだかる。中でも実業家イーロン・マスク氏が率いる米スペースXの「ファルコン9」は、機体の一部再利用や複数の発射場の活用で低価格を実現し「既に独り勝ちの状態」(徳永氏)という。米ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)や欧州アリアンスペースも新型機の実用化を急いでおり、三菱重工の受注拡大は容易ではない。(2024/02/18-07:11)

2024.02.18 07:11Business

Mitsubishi Heavy Aims to Expand Space Biz after Successful H3 Launch


Japan's Mitsubishi Heavy Industries Ltd. aims to develop its space business further, after the successful launch of the second unit of the new H3 rocket last week.
   Rocket launches are seen as a promising business area as demand for satellite launches is soaring globally. Mitsubishi Heavy, which earns only about 50 billion yen annually from its space business, hopes to catch up with far-ahead U.S. and European rivals by strengthening the cost competitiveness of the business.

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