2024.02.03 07:04Nation

魚醤「いしる」製造できず 江戸からの伝統、奥能登限定品も―休業業者「なんとか残す」・能登地震

 能登半島地震では、奥能登に古くから伝わり、2023年3月に国の登録無形民俗文化財となった魚醤「いしる」の製造現場も大きな被害を受けた。産地の一つ、石川県能登町では、工場設備の破損や道路の寸断などで製造が困難に。地元業者は「再開のめどが立たない」と途方に暮れる。
 いしるは魚介類に塩を混ぜ、1年以上自然発酵させたもの。能登町商工会によると、奥能登では江戸時代中期ごろから地元名産のイワシやサバ、イカなどを原料に造られてきた。イカの内臓を使うのは、全国でも奥能登のみという。
 だが、今回の地震で同町内の4業者全てが製造を停止した。
 このうちカネイシでは、貯蔵庫に通じる唯一の道路が崩落し、行き来が困難になった。新谷伸一社長(54)によると、例年2月以降が仕込みの時期だが、道路が復旧しない限り、再開は難しいという。新谷社長は「完成まで時間がかかるものなので、来年以降の営業に響かないか心配だ」と不安を隠さない。
 ヤマサ商事は貯蔵用タンクの4割ほどが破損し、1年間の休業を決めた。山崎晃一社長(50)は地震当日、倉庫の外まで大量のいしるが漏れ出ているのを見て、「これはもう駄目だと思った」と振り返る。断水で仕込みに必要な水も足りず、「どのみち製造できない。休業は仕方ない」と肩を落とした。
 近年の発酵食品ブームに加え、農林水産省が次世代に伝えたい郷土料理として「いしる鍋」を紹介するなどしたこともあって、注目されていた。売り上げが伸びてきたところでの地震に、「これからというところだったのに」と悔しがる。
 だが、いしるは山崎社長にとって「生きる糧」。廃業は考えていない。当面は破損したタンクを片付けながら、水道の復旧を待つつもりだ。「ほかで替えの利かない貴重なもの。なんとか残していきたい」と力を込めた。(2024/02/03-07:04)

2024.02.03 07:04Nation

Noto Quake Leaves Makers of Age-Old Fish Sauce at Loss


The Jan. 1 Noto Peninsula earthquake in central Japan has left local makers of an age-old fish sauce at a loss, with the prospect of resuming production completely up in the air.
   The "ishiru" sauce, recognized as a registered intangible folk-cultural property by the government in March 2023, has been passed down from generation to generation in the Oku-Noto area, or the northern point of the peninsula in Ishikawa Prefecture.
   The 7.6-magnitude quake left roads cut off and production facilities damaged in the town of Noto, one of the major ishiru-producing areas.
   Ishiru is made by mixing seafood together with salt and leaving the mixture to naturally ferment for at least a year.
   According to the town's chamber of commerce, ishiru has been made in the Okunoto area since the mid-Edo period, mixing in local specialties such as sardines, mackerel and squid. Oku-Noto is the only fish sauce-producing area in Japan that puts squid guts in, the organization said.

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