警察犬、共に走り続け１世紀　進化重ね「ハイブリッド犬」も―「可能性は無限」・警視庁１５０年

　１月で創立１５０年を迎えた警視庁は大正時代、日本で初めて警察活動に犬を活用した。「相棒」の役割はＤＮＡ型鑑定や防犯カメラの普及などで徐々に変わったが、時代に応じて進化を続け、今も変わらず活躍の場を広げている。
　警察犬制度は１９世紀末にドイツで始まったとされる。日本では１９１２年、同庁が英国からスコッチコリーとレトリバーを各１頭購入したのが起源。防犯の広報活動に活用された。昭和初期にエアデール・テリアやドーベルマンを採用した記録もあるが、体の丈夫さや、従順で意欲的な性格などからシェパードとラブラドールレトリバーが主流となった。
　警察が飼育する「直轄犬制度」は５６年、東京都千代田区の犬舎で６頭で本格的に始まった。７４年には世田谷区に第２訓練所が新設され、多摩地区の現場にも迅速に臨場できるようになった。現在は板橋区と東大和市の２カ所で３３頭が訓練を行っている。
　犯罪捜査に犬の嗅覚を活用するようになった５２年ごろは、犯人の遺留品の臭いで逃走経路などを割り出す「足跡追及」や、複数の中から遺留品と同じ臭いを選ぶ「臭気選別」が主だった。その後、犬を扱うハンドラーらは犯罪情勢に応じ、遺体や爆発物の捜索など新たな分野に対応できる犬を増やしてきた。
　２０１４年には銃器と薬物両方を探知できる「ハイブリッド犬」の第１号が誕生。限られた頭数でより多くの現場に対応できるようになった。行方不明者捜索の需要も増しており、全体で約７４０件に上る２２年の出動件数のうちの半数近くを占めた。
　警察犬は１歳前後から訓練を始め、１～２年ほどで活動に加わる。訓練や遊びの中でハンドラーとの信頼関係を育み、現場臨場を今か今かと待っている。出動時は興奮して、バンの後部に自ら飛び乗る犬が多いという。島しょ部での活動に備え、ヘリコプターへの搭乗訓練もしている。
　長い歴史の中で現場を取り巻く環境は少しずつ変化した。アスファルトの道路は草や土と比べ臭いが残りづらく、車や人の往来が多い都市部も難易度が高い。「犬が持つ能力は未知。捜査に貢献できる可能性は無限だ」。担当者はこう語り、「新たな挑戦はもちろん、今ある訓練技術をさらに磨いて、国民の期待に応えたい」と力を込めた。（2024/01/31-05:23）

Tokyo's Metropolitan Police Department has always been accompanied by police dogs since the organization became the first in Japan to introduce dogs in police activities back in 1912.
   While the role of police dogs has since changed due to the spread of DNA testing, security cameras and other tools of technology, the loyal companions have remained beside the MPD, which celebrated the 150th anniversary of its establishment last month.
   The police dog system is said to have begun in Germany at the end of the 19th century.
   In 1912, during Japan's Taisho era, the Tokyo police acquired from Britain a Scotch Collie and a Labrador. The dogs were also used for activities to raise awareness for crime prevention among the members of the general public.
   While existing records also show that the Tokyo police used Airedale Terrier and Doberman dogs in the early Showa era, German shepherds and Labradors have made up the majority of police dogs due to their athletic physique and their obedient and eager-to-please temperament.