ＦＦ飾り皿、被災免れ　技術結集、「関心持って」―輪島塗若手団体

　能登半島地震の被害から免れた輪島塗の皿がある。職人など業界の若手らが共同で作った、人気ゲーム「ファイナルファンタジー（ＦＦ）１４」のキャラクターをデザインした蒔絵（まきえ）の飾り皿だ。団体の代表を務める大工治彦さん（３６）は、「この飾り皿をきっかけに若い世代に関心を持ってもらい、ピンチをチャンスに変えたい」と話す。
　飾り皿は、輪島塗に携わる十数人の若手で構成する輪島漆器青年会（石川県輪島市）が、１月７、８両日に東京で開催されたＦＦのイベント向けに制作した。直径４３センチの皿に、らでんや金粉をふんだんに使った蒔絵で、ゲーム中に登場するキャラクターの「龍神バハムート」を再現。「木地から磨きまで、輪島塗の技術を結集した」（大工さん）という。
　５日に会場に納品する予定だったが、たまたま地震発生前の昨年末に早めたのが幸いした。今年３月末に納品予定だった別の漆器は出荷できず、受注はキャンセル。震災をきっかけにバハムートの飾り皿に注目が集まり、会場では一目見ようというファンが列を作った。
　飾り皿の評判は、昨年１２月末に開設した青年会のＸ（旧ツイッター）にも波及。当初ほぼゼロだったフォロワーがイベントをきっかけに急増したほか、Ｘで呼び掛けた支援金も集まってきた。
　輪島塗は地震で離職する職人が増え、後継者不足に拍車が掛かる可能性がある。大工さんは、「輪島塗に需要がある、ちゃんともうかると分かれば担い手は戻り、若手も参入してくれるはず。生産再開できるまで魅力を発信し続ける」と輪島塗の再興に意欲を示している。（2024/01/20-13:36）

A group to preserve "Wajima-nuri" lacquerware hopes that a decorative plate created in collaboration with megahit game series Final Fantasy that escaped damage from the Jan. 1 earthquake will help turn the dire situation around.
   Wajima-nuri is a type of traditional lacquerware art from Wajima, Ishikawa Prefecture, central Japan, hit hard by the 7.6-magnitude quake in the Noto Peninsula.
   The decorative plate was created by Wajima Shikki Seinenkai, a group based in Wajima and made up of over 10 members involved in the craft of Wajima-nuri, for a Final Fantasy event held in Tokyo on Jan. 7-8.
   The 43-centimeter plate features a design of "makie" gold-lacquer work of Bahamut, a dragon character in the Final Fantasy XIV game.
   The plate "is an aggregation of all the (best) skills in Wajima-nuri starting from the woodwork all the way to the polishing process," said Haruhiko Daiku, 36, head of the group.