わずか3年、砕けた「完全復興」 回廊崩落、歌碑は真逆に―輪島市の総持寺祖院・能登地震
能登半島地震では、約700年の歴史がある石川県輪島市門前町の寺院「総持寺祖院」も甚大な被害を受けた。2007年3月の地震被害から「完全復興」を宣言して、3年足らずで起きた惨事。関係者は「14年間の苦労が一瞬でこんなことになるとは。今は言葉にならない」と肩を落とす。
14日、寺の運営を担う副監院の高島弘成さん(50)と、石畳が無残にめくれあがった敷地内を歩いた。国の登録有形文化財である回廊「禅悦廊」は大きく崩れ落ち、山門の階段や石灯籠など、目に入るものほとんどが大きく損壊している。境内にあった大きな歌碑は、回転して真後ろを向いており、揺れの激しさを物語っていた。
この寺は07年の地震でも大きな被害を受けたが、14年間かけて修復や耐震工事を終え、開創700年に当たる21年の4月に「完全復興」を記念した落慶式を営んだばかりだった。高島さんによると、約30の建物のうち、17棟が国の登録有形文化財で、その全てに深刻な被害が及んでいるという。
「寺は門前町のよりどころであるだけでなく、前の地震からの復興のシンボルでもあった」と話す高島さん。新型コロナウイルス禍を経て参拝者の数も戻りつつあっただけに、落胆の色は濃い。「今できることを一つ一つやっていくしかない。その向こうに、先人の成し遂げてきた復興があると思う」と前を向いた。
歴史ある寺と共に栄えてきた「総持寺通り商店街」も、立ち並ぶ店舗のほとんどが被害を受け、存続を危ぶむ声が上がる。洋服店「シモグチ」の下口洋子さん(78)は「もともとこの商店街は高齢化が進んでいた。もしお寺が復興できたとしても、避難先から戻ってまたお店をやれる人は少ないのでは」と表情を曇らせた。(2024/01/16-07:05)
Reconstructed Ishikawa Temple Devastated in New Year's Day Quake
The powerful earthquake that struck Ishikawa Prefecture, central Japan, on New Year's Day devastated a historic temple that had only recovered from a prior earthquake less than three years ago.
The roughly 700-year-old Sojiji Soin temple in the Monzenmachi district of the city of Wajima suffered heavy damage despite its 2021 declaration of "complete reconstruction" from a March 2007 quake.
"I didn't expect such a thing to happen in a moment after 14 years of hardship," one temple official said. "I am at a loss for words."
At the temple, the Zen-etsuro corridor registered as a national tangible cultural property had collapsed, and many other things such as steps at the temple gate and stone lanterns were also heavily damaged.
A monument inscribed with a poem had turned and faced backward, indicating the intensity of the tremor.
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