福祉施設で描く邦人が個展 障害の垣根越え作品評価―NY
【ニューヨーク時事】滋賀県甲賀市の福祉施設「やまなみ工房」に通う鵜飼結一朗さん(28)の絵画展が、現代アートの中心地である米ニューヨークのギャラリー「ビーナス・オーバー・マンハッタン」で開かれている。絵の独創性に着目したギャラリー側の依頼で実現。米アート界では健常者と障害者の垣根を越え、優れた作品を積極的に評価する動きが着実に進んでいる。
会場の壁には、美術教育を受けず「絵が好き」の一心で描かれた14点が並ぶ。画面を所狭しと埋め尽くすのは、多彩な色の妖怪や侍などのキャラクターたちだ。「一度模写した物は次回以降、何も見ずに再現できる」(施設職員)能力を発揮し、日本文化を代表するアニメや浮世絵の影響を受けた独特の世界観を詳細に表現。各作品は個別に描かれたものだが、絵巻物のように隣の絵に連結して右から左に展開する。
米サンフランシスコ近代美術館では来年、障害者のアートに焦点を合わせた企画展が開かれる。今回の個展開催に協力したキュレーターの小出由紀子さんは「鵜飼さんには無限に広がる大きなマップが見えていて、そのごく一部を描いているのでは」と解説。「現代アートとして希有(けう)な才能の評価を世界で求めたい」と意欲を示した。個展は来年1月13日まで。(2023/11/27-13:31)
Drawings by Japanese Artist Yuichiro Ukai on Display in New York
An exhibition is running in New York featuring drawings by Japanese artist Yuichiro Ukai, who is a member of Atelier Yamanami, an arts-focused welfare workshop in Shiga Prefecture, western Japan.
A total of 14 artworks of the 28-year-old self-taught artist is being displayed at the city's Venus Over Manhattan gallery.
The artworks are densely filled with colorful characters such as yokai Japanese folklore monsters and samurais, creating a unique eclecticism influenced by traditional and contemporary Japanese cultures including ukiyo-e woodblock prints and anime.
These artworks are displayed in a sequential series that lead viewers from a drawing to the next one, from right to left, like a picture scroll.
"Once Ukai draws a copy of something, he can recreate it next time without seeing anything," a staff member of Atelier Yamanami said.
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