岸田首相、APEC「貢献」誇示 米韓と蜜月、外交継続に意欲―尽きぬ内憂、出口見えず
【サンフランシスコ時事】岸田文雄首相は17日(日本時間18日)、米サンフランシスコ訪問を終えた。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の議論に「貢献」したと成果を誇示し、「岸田外交」の継続に意欲を示した。ただ、政権基盤は揺らいでおり、週明け以降も2023年度補正予算案の審議など厳しい局面が続く。
「ロシアのウクライナ侵略が持続可能な発展を揺るがすと主張し、議長声明に盛り込まれた」。首相は17日の内外記者会見でこう強調。公正な投資環境確保や人工知能(AI)活用の環境整備も唱え、関連文書に反映されたと訴えた。その上で年内の外交日程に触れ、「引き続き活発な首脳外交を行い、国際社会を協調に導く」と表明した。
米国のバイデン大統領、韓国の尹錫悦大統領との「蜜月」関係のアピールにも余念がなかった。今年4回目となった16日の日米首脳会談では、中国の軍事的威圧や中東、ウクライナ情勢を巡り緊密な連携を確認。来年の早い時期に公式訪問するよう招待を受けた。異例の国賓待遇となることに関し、日米外交筋は「バイデン氏は首相に好印象を持っている」と語る。
尹氏との同日の会談は、関係正常化で合意した今年3月以降の約8カ月間で実に7回目。これについて首相は翌17日に共に参加したスタンフォード大の討論会で「新記録だ」と誇り、「共通点はおいしい食事とお酒が好きということだ」と親密さの理由を述べた。
首相が訪米の成果を強調したのは、「内憂」が尽きないためだ。起死回生を狙った所得税の定額減税が不評で、政務三役の不祥事も続出。補正審議で野党は厳しく追及する方針だ。内閣支持率は各種世論調査で軒並み政権発足後の最低値を記録。地方選挙でも自民党の負けが込み、求心力は急速に低下している。
16日の日中首脳会談では溝を埋められなかった。首相は日本産水産物禁輸の即時撤廃を要求。習近平国家主席は東京電力福島第1原発の処理水を「核汚染水」と表現した。対話で解決を図ることでは一致したが、首相は内外会見で禁輸解除について「具体的な時期は言えない」と答えざるを得なかった。スパイ容疑で拘束された邦人の解放も実現しなかった。
年内の外交案件としては、国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)や東南アジア諸国連合(ASEAN)との特別首脳会議が残っている。だが、自民幹部は「外交で支持率はそれほど上がらない」と断言。閣僚経験者は「目の前の課題にこつこつ取り組むしかない」と語った。(2023/11/19-07:06)
Kishida Focuses on Diplomacy amid Poor Public Support Rates
Japanese Prime Minister Fumio Kishida, plagued by slumping public support rates for his cabinet, highlighted the diplomatic achievements he made during his visit to San Francisco to attend a summit of the Asia-Pacific Economic Cooperation forum through Friday.
Showing off his contribution to the discussions at the APEC summit, the prime minister expressed his eagerness to continue "Kishida diplomacy."
As the foundation of the Kishida administration has been shaken by policy unpopularity and scandals involving senior government officials, he is expected to keep facing tough times, including during parliamentary deliberations on a supplementary government budget from Monday.
"I claimed that Russia's invasion of Ukraine would undermine sustainable development, and this was included in the chair's statement," Kishida said at a press conference in San Francisco on Friday after the summit.
The prime minister also said that he underlined the need to ensure a fair investment environment and improve the environment for using artificial intelligence, and that these ideas were reflected in an APEC-related document.
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