日銀、デジタル通貨の研究加速　将来発行も視野、影響分析

　日銀が中央銀行によるデジタル通貨発行の研究を加速させる。ＩＴと融合した急速な金融技術の変革を踏まえ、海外中銀との連携体制を整備。将来発行する可能性も視野に、経済への影響や技術面の調査・分析を進める。
　デジタル通貨が普及すれば、海外との送金や決済が低コストで速やかに実行可能だ。一方、利用者のお金の動きを捕捉しやすくなる面もあり、個人情報保護が課題となる。
　日銀と欧州中央銀行など６中銀や、国際決済銀行は２１日夜、共同研究を行うと発表した。米国は加わっていないが、この分野で先行するスウェーデンが参加している。ノウハウを共有して研究を効率化し、年内をめどに報告書をまとめる予定だ。
　共通通貨の発行は想定せず、実際の発行は各中銀が独自に判断する。
　各中銀が研究を急ぐ背景には、米フェイスブックが計画している暗号資産（仮想通貨）「リブラ」への警戒感がある。民間企業が発行するデジタル通貨が世界規模で利用されれば、マネーロンダリング（資金洗浄）対策に抜け穴ができたり、金融政策の影響力が低下したりする恐れがある。
　また、デジタル通貨の基盤となる「ブロックチェーン（分散型台帳）」など新技術への対応も急務。日銀は「現時点で具体的な発行計画はない」と説明しているが将来発行が必要になった場合に備え、調査を進める。
　デジタル通貨をめぐっては、中国も発行計画を明らかにしている。将来、基軸通貨として世界的な普及を目指す可能性もあり、共同研究には、国際金融界で台頭する中国に対抗する意味もある。（2020/01/23-07:18）

The Bank of Japan aims to accelerate research on digital currencies in cooperation with foreign central banks, amid rapid changes in financial technologies.
   The Japanese central bank will study and analyze related technologies and the impacts of digital currencies on the economy, while eyeing the possibility of issuing its own digital currency in the future.
   Wider use of digital currencies will enable low-cost and fast international cash transfers and payments.
   Meanwhile, thorough measures to protect personal information are needed because it is easier to track flows of money with digital currencies.
   The BOJ, five other central banks and the Bank for International Settlements said Tuesday that they have "created a group to share experiences as they assess the potential cases for central bank digital currency in their home jurisdictions."