芸術に公金、広がる波紋　市劇場専属の舞踊団―首長交代で一時存続危機・新潟

　公共劇場の専属舞踊団として活躍する新潟市の「Ｎｏｉｓｍ（ノイズム）」。専門家から高い評価を受ける団体だが昨年、活動継続が危ぶまれる事態に見舞われた。首長の交代や財政難を背景に、市が事業の見直しを示唆したためで、芸術に公金を投入すべきか市民の間でも賛否が割れた。条件付きで当面の活動継続が決まったが、公金に頼る文化活動の難しさが浮き彫りとなった。
　ノイズムは２００４年、市の公共劇場「りゅーとぴあ」の専属舞踊団として発足し、現在は正規ダンサー１３人が活動する。劇場側が生活費を支給し、練習場所も確保するなど恵まれた環境で質の高い作品を生み出し、世界的指揮者の小沢征爾氏とも共演した。広報担当者は「時間と場所が大事。作品の質、出来が変わってくる」と意義を強調する。
　年間約１億５０００万円の運営費のうち約５０００万円は市の補助金で賄ってきた。しかし、発足時の市トップで、理解者でもあった前市長が１８年１１月に退任すると、風向きは一変。財政再建を掲げる中原八一・現市長が就任後、「活動を検証し、次の契約について検討したい」と表明し、団体の活動を見直すこととなった。

　市の有識者会議などの議論を経て、ノイズムは１９年９月、地域貢献の向上などを条件に２２年８月まで活動を継続することが決まった。ただ、補助金がこれまで通り支給されるかは不透明だ。
　公共劇場の専属芸術集団は欧米では一般的だが、日本では「多大な予算が掛かる」と敬遠され、ほとんど例がない。
　新潟国際情報大の越智敏夫教授（政治学）は「文化事業は価値を数字で測りにくく、予算削減の対象になりやすい。一回やめると復活は難しい」と話し、行政による文化・芸術活動の支援の難しさを訴えた。（2020/01/19-07:18）

A dance company with a residency at a public theater in Niigata, central Japan, is finding its existence in limbo after the city government hinted at cutting public funding for its activities.
   The Noism dance company, launched in 2004 as a resident artist group for the Ryutopia performing arts center run by the city, has won critical acclaim for its works. It has collaborated with world-renowned Japanese conductor Seiji Ozawa.
   The troupe currently has 13 full-time dancers whose living expenses and practice facilities are provided by the theater.
   "Securing the time and location are important," a Noism official said of the significance of having a residency. "It affects the quality of works."
   Of Noism's annual operating costs of some 150 million yen, about 50 million yen had been paid for by subsidies from the city. However, the company faced a challenge when the city said it would review funding for the group's activities.