2020.01.17 13:33Nation

首長ら1万人超学ぶ 震災対応、実践で研修―人と防災未来センター・神戸

災害対策専門研修に参加する鳥取県の町村長ら=2019年11月20日、同県倉吉市

災害対策専門研修に参加する鳥取県の町村長ら=2019年11月20日、同県倉吉市

 阪神大震災の教訓を伝える「人と防災未来センター」(神戸市中央区)は、2002年の設立以降、過去の知見に基づき、自治体の災害対応力を高める研修を実施している。特長は復旧、復興の指揮を執る首長向けに、センターの研究員らが各県に出向いて行う研修で、実践さながらのカリキュラムを用意。これまでに首長や防災担当職員ら延べ1万人超が学び、災害への備えに生かされている。
 19年11月、首長対象の災害対策専門研修が鳥取県倉吉市で行われた。全庁的な視野での指揮に加え、住民の被災状況やニーズの把握、地域外への協力呼び掛けなど、同センターの研究員が首長の役割について講義。その後、大規模災害が起きた想定で、1週間後までの対応を実践的に学んだ。
 「この1週間で何をするのか、被災者の立場で想像して」。研究員の助言を受け、首長らは避難生活で想定される「避難所が狭い」「寒くて眠れない」といった課題や不安を付箋に書き出した。参加者で議論を重ね、優先すべきテーマを選択。「避難所」を選んだ班は「ストレスを感じない環境に改善」「過密状態の解消」といった目標を設定し、対応方針を話し合った。その後、模擬記者会見で、実際に記者との質疑応答に臨んだ。
 参加した鳥取県大山町の竹口大紀町長は「これまで被災者側に立って考える研修はなく、立場を変えることも重要と気付かされた」と感想を述べた。日吉津村の中田達彦村長は「模擬会見はいい経験。限られた時間内で簡潔に伝えるのは難しい」と話した。県の防災担当者は「首長は災害時、孤独な中で重要な判断を迫られる。災害対応のスキルを上げてもらう貴重な研修」と歓迎する。
 17年に研修を受け、翌年に地震被害を受けた北海道厚真町の宮坂尚市朗町長は「首長が(復旧復興への)構想を持って対応しないと応急期は乗り切れない。最先端の知識を入れるため、学ぶ機会は逃さない方がいい」と話す。
 首長対象の研修は19年度までに34道府県で実施した。同センター長の河田恵昭氏は「災害発生直後は公的支援が中心。ただ、首長一人では何もできない。研修は近隣自治体同士のネットワークづくりにも効果的だ」と強調する。
 同センターでは、首長の補佐役となる自治体職員の人材育成も担う。防災担当職員には能力に応じた専門研修を用意し、阪神大震災の教訓を生かした災害対応のノウハウを伝えている。(2020/01/17-13:33)

2020.01.17 13:33Nation

25 Years On: Disaster Memorial Center Giving Lessons to Regional Officials


A memorial center established in the wake of the 1995 Kobe earthquake has given lessons about disaster management to more than 10,000 officials from local governments across Japan.
   The Disaster Reduction and Human Renovation Institution in the western Japan city's Chuo Ward offers seminars to help local governments increase their disaster resilience, including events for the local leaders who will lead restoration and reconstruction efforts in the event of major disasters.
   The Kobe institution has so far organized such seminars for local leaders in 34 of the 47 prefectures in the country.
   At a seminar held in the city of Kurayoshi, Tottori Prefecture, in November 2019, a researcher of the institution asked participants to consider what they should do in the first week after a massive disaster while picturing the needs of affected people.
   The seminar participants held discussions about living conditions at evacuation shelters and how to select priorities when responding to disasters.

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