四日市公害の教訓、後世に 娘の悲劇、語り継ぐ母―24日、判決50年・三重
三重県四日市市の石油化学コンビナートから排出された亜硫酸ガスが四日市ぜんそくを引き起こしたと認定し、原因企業に対し患者側への賠償を命じた判決から24日で50年となる。「二度と同じことを起こしてはならない」。娘の尚子さん=当時(9)=を亡くした谷田輝子さん(87)は「語り部」として、公害の教訓を次世代に語り続けている。
「夜になるとせきが出て、布団にうつぶせになった尚子の背中をさすってあげるしかなかった」。幼稚園に通っていた尚子さんが発症した当時、1963年に操業が始まった第2コンビナートから約2キロの場所に居住。発症後の尚子さんは「食事を受け付けなくなり、痩せていった」という。
医師の勧めで72年5月に市外に転居すると、尚子さんの症状は改善した。同年7月24日、津地裁四日市支部が言い渡した判決の報道を、谷田さんは尚子さんと一緒にテレビで見た。尚子さんは訴訟に参加していなかったが「原告が勝ったことを知り、喜んだ」という。同年9月、小学4年だった尚子さんはぜんそくの発作で亡くなった。
訴訟と並行し、企業や行政はさまざまな公害防止対策を講じた。ただ、谷田さんは「それでも操業を続けられるんなら、なんでもっと早くできんかったんや」と悔しがる。
判決から半世紀となり、記憶の風化が進む中、谷田さんは約10年前から語り部の活動を始めた。「公害で死んだ子がおり、経済成長のために人を犠牲にしてはいけないという教訓を伝えなければならない」という思いが、原動力となっている。
今月1日、四日市市で開かれた谷田さんの講演を聞いた市立内部小学校5年の男子児童は「自分よりも小さい子がぜんそくで苦しんでいたのは知らなかった」と感想を話した。谷田さんは「私の話が誰かの記憶にちょっとでも残り続けてくれたらうれしい」と話している。(2022/07/24-07:19)
Lessons from Yokkaichi Pollution Passed On 50 Yrs after Ruling
As Sunday marks 50 years since a major court ruling for damages payments over air pollution in the city of Yokkaichi, Mie Prefecture, central Japan, people affected are continuing activities to pass on the lessons of the pollution to future generations.
On July 24, 1972, a court found that sulfurous acid gas emitted from a petrochemical complex in the city triggered asthma, ordering companies responsible to pay damages totaling 88 million yen to plaintiffs. The Yokkaichi asthma is known as one of the four big pollution diseases in Japan.
"We must never let it happen again," Teruko Tanida, 87, who lost her 9-year-old daughter Naoko due to the so-called Yokkaichi asthma, said.
Tanida engages in activities to spread the lessons of the pollution as a "kataribe" storyteller.
Tanida lived about 2 kilometers from a factory complex that began operations in 1963. Naoko was a kindergarten student at the time. "She would cough at night, and all I could do is rub her back as she lay facing down in bed," Tanida said of the daughter. "She stopped eating and lost weight."
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