2022.06.15 19:03Nation

参院選へ号砲、政権に審判 自公、過半数維持で安定狙う―野党共闘は一変

 与野党は15日、通常国会の閉幕を受けて、7月10日投開票の参院選に向けた事実上の選挙戦をスタートさせた。岸田文雄首相(自民党総裁)にとって、昨年秋の衆院選に続き2度目の大型国政選挙となる。与党は非改選も合わせて過半数を維持し、長期安定政権への基盤を築きたい考え。一方、野党各党は共闘よりも党勢拡大を目指し、比例票を中心に激しい戦いを繰り広げそうだ。
 ◇スキャンダル、物価高に不安
 「大きな歴史を画するような課題を前に、政治の安定を得ることができるか。力を与えていただくことができるか。大変大きな選挙だ」。首相は15日の自民党参院議員総会で、参院選に臨む決意をこう強調した。
 報道各社の世論調査で、内閣支持率は50~60%程度と堅調だ。安倍、菅両政権が苦しめられた新型コロナウイルスの感染状況も全国的に落ち着いている。自民党の麻生太郎副総裁は15日の党会合で「(会期末が)これだけ平穏無事で、べたなぎになった記憶はない」と語った。
 参院選の勝敗を左右する全国32の「1人区」(改選数1)で、野党候補の一本化は限定的なため、自民党重鎮は「自民単独で60議席は取れる」との見方を示す。
 ただ、国会終盤に、自民党出身の細田博之衆院議長のセクハラ疑惑や、同党離党に追い込まれた吉川赳衆院議員が18歳女性と飲酒していた疑惑が報じられた。24年ぶりの円安加速と物価高騰は歯止めがかからず、野党は「岸田インフレ、黒田(東彦日銀総裁)円安を許さない」(立憲民主党の泉健太代表)などと攻勢を強める。
 こうした状況に、自民党関係者は「国民生活に物価高が響いている。参院選期間は長いので、情勢ががらっと変化することがある」と警戒。公明党内からも「楽勝ムードではなくなった」(幹部)と危惧する声が漏れる。
 自民党の遠藤利明選対委員長は14日のインターネット番組で「(党内に)緩みはある。引き締めなければいけない」と語った。
 ◇野党は主導権争い
 1人区で、立民などが野党候補を一本化して自民党との一騎打ちの構図に持ち込めそうなのは、わずか11選挙区にとどまった。直近2回の参院選では、野党は1人区全てで統一候補を擁立しており、野党共闘はこれまでの姿から一変した。
 野党各党には党勢拡大を優先する姿勢が目立つ。選挙区候補を積極的に擁立すれば、比例票の掘り起こしが見込めると判断。立民、共産両党による候補者調整の枠組みには、共産党と距離を置く国民民主党、日本維新の会は加わらなかった。
 ただ、野党が競合すれば非自民票の分散は避けられず、自民党を利することになりかねない。立民の泉代表は15日、「それぞれが戦うしかない」と記者団に嘆いた。
 参院選後の主導権争いをにらみ、野党間の批判合戦も熱を帯びる。維新は立民から「野党第1党」奪取を狙い、街頭演説などで「立民はとにかく批判」(吉村洋文副代表)などと舌戦を仕掛ける。馬場伸幸共同代表も同日の記者会見で「国会が停滞する一番の原因は立民だ。日本にとって何の役にも立たない」とこき下ろした。
 立民も黙っていない。泉氏は同日の党会合で「維新のいわれなき攻撃は目に余る。大きなうそをつくような政治をはびこらせてはいけない」と、対決姿勢を鮮明にした。(2022/06/15-19:03)

2022.06.15 19:03Nation

Japan Ruling Bloc Aiming to Keep Upper House Majority; Opposition Divided


Japan's ruling bloc aims to maintain its majority in the House of Councillors in the July 10 election for the upper chamber of the Diet, the country's parliament, while election cooperation has been limited for the opposition side.
   The end of this year's regular Diet session on Wednesday effectively kicked off campaigning for the crucial poll, the second major national election for Prime Minister Fumio Kishida, following last autumn's general election for the House of Representatives, the lower chamber.
   The ruling Liberal Democratic Party and its Komeito ally are eager to lay the foundations for a stable, long-term government under Kishida by keeping their combined Upper House majority including seats not to be contested.
   Opposition parties are focusing on boosting their respective presence rather than unifying their candidates to fight the ruling coalition one-on-one. Consequently, they are expected to engage in a fierce battle for seats, especially under the nationwide proportional representation system.

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