発展続く米軍基地跡地 那覇、北谷を歩く―沖縄復帰50年
沖縄県内の米軍基地は復帰後半世紀で施設面積の約3割が返還され、跡地には商業施設や高層マンションが立ち並ぶ。広い芝生にプール、娯楽施設―。フェンスの向こうは、かつて豊かさの象徴だった。返還地の今を歩いた。
◇激戦地だった那覇市新都心
那覇市の繁華街「国際通り」から北東約2キロの新都心地区。モノレール「ゆいレール」のおもろまち駅広場を抜けると、官公庁や大型免税店、東シナ海を一望する地上30階建てのツインタワー形式のマンションが広がった。
かつては沖縄戦の激戦地。米軍は戦後、土地を強制接収し、将校らが住む「牧港住宅地区」を整備した。銘苅新都心自治会長の前原信達さん(66)は「当時の沖縄は毎年水不足だったが、フェンス内の芝生は青々として別世界だった」と振り返る。
一帯は1987年に全面返還され、2002年には大型商業施設がオープン。地域の小売店や公設市場から県民の足は遠のいた。地元出版社「ボーダーインク」の編集長新城和博さん(59)は「新都心地区が県民の買い物の仕方を変えた」と語る。
同地区には21年3月現在で約2万3000人が暮らす。人口はこの10年間で約4000人増加。中心部には地上13階建てホテルが建設され、街の発展は続く。
◇経済効果は108倍に
那覇市から車で約40分北上した場所にある北谷町の桑江、北前両地区。米軍飛行場や射撃訓練場が返還され、埋め立ても進み、一帯は米西海岸をイメージした「アメリカンビレッジ」に生まれ変わった。
沖縄を拠点に活動する音楽バンドのHYやオレンジレンジのストリートライブも開かれた若者文化の発信地となり、異国情緒豊かな街並みはにぎわいを見せる。卒業旅行で東京都から訪れた専門学校生の女性(20)は「インスタの写真を見て、建物がかわいいと思って来た」と笑顔を見せた。
県によると、両地区の返還前の経済効果(推計)は基地関連収入で年約3億円だったが、返還後は約108倍の年約336億円。新都心地区は約32倍の約1634億円に上る。
沖縄の経済は本土復帰後も基地に依存する一方、基地関連収入が県民総所得に占める割合は、72年度の15.5%から18年度は5.1%に低下した。前副知事の富川盛武沖縄国際大名誉教授(74)は「基地経済は必ず限界が来る。跡地開発は沖縄発展の大きな推進力になる」と期待する。(2022/04/20-07:22)
50 Years On: Development of Ex-U.S. Sites Key to Okinawa Growth
The development of former U.S. base sites in Okinawa Prefecture is seen as a key to vitalizing the economy of the southernmost Japan prefecture.
A half century after Okinawa's return to Japan in 1972, commercial facilities and high-rise condominiums stand on former U.S. base sites.
Of the Okinawa land where facilities related to U.S. forces were located during the post-World War II occupation by the United States, about 30 pct has been returned to Okinawa.
About 2 kilometers northeast of the Kokusai-dori major shopping street in Naha, Okinawa's capital, there is a redevelopment area called Shintoshin, or new urban center, which hosts buildings of public offices, a large duty-free shop and 30-story twin tower condominiums.
The area, where fierce battles took place during World War II, was seized by the United States after the war and was turned into the Makiminato housing area mainly for commissioned officers.
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