「天然雪」で冬季産業再生を 元スキー選手、皆川さん法人設立
日本の天然雪の資源価値を見直し、冬季産業の活性化を―。元アルペンスキー選手の皆川賢太郎さん(44)が、一般財団法人冬季産業再生機構を設立した。地球温暖化問題の意識啓発や、外国のスキー客を国内に呼び込む活動を通じて、低迷が続く業界の再生を目指す。
2月の北京冬季五輪では、スキーやスノーボード会場が人工雪中心だった。スポーツが楽しめるほど豊富に雪が降る日本のような地域は、世界で決して多くない。スキー場経営にも携わる皆川さんは「雪資源の希少価値と、与えられた地理の優位性がある」と指摘し、天然雪を呼び物とした外需拡大に期待を込める。
日本の雪質は以前から欧米豪などに人気があった。今後注目されるのが五輪を追い風にスキー人口が3000万人に達したとされる中国。「スキー場の数がとんでもないスピードで増えた。2030年までにスキー人口が3億人になり、その10%が来日すると言われる」。受け入れ態勢づくりは急務だと訴える。
法人の活動としてまず、国内の冬季産業の現状把握に着手する。日本ではピーク時で1800万人いたスキー人口が一時600万人を切ったとされるが、正確な統計は少ない。投資を促す上で最低限の指標が必要。「スキー場の来場人数や客単価、リフトやゴンドラの築年数や修繕時期をまとめたい」と意気込む。
雪保全への取り組みも進める。豪雪地帯で知られる皆川さんの地元、新潟県魚沼地方では「(積雪は)昔は平均7、8メートルだったのが、昨年は4メートル強ぐらい」。温暖化で懸念される雪資源の将来を守ろうと「SAVE THE SNOW」と名付けた事業を展開。四季の豊かさや雪の美しさを次世代に伝える絵本づくりを始めた。妻でフリースタイルスキー・モーグルで名をはせた上村愛子さんが中心になって作業を進めている。
06年トリノ五輪の回転で4位に入り、全日本スキー連盟で強化トップも務めた皆川さん。冬季産業の再生で、現役を退いた選手の受け皿を大きくしたいとの思いがあり、「ぜひ雪の環境下でセカンドキャリアが開花してほしい」。札幌市が開催を目指す30年冬季五輪も、環境問題を軸とした招致活動になることを望んでいる。(2022/04/16-06:40)
FOCUS: Ex-Olympian Taps Natural Snow to Revive Winter Sports Industry
Former Japanese Olympic alpine skier Kentaro Minagawa hopes to shed new light on the resource value of natural snow in Japan in an attempt to revitalize the winter sports industry.
The desire motivated Minagawa, 44, to set up the Winter Industry Revitalization Agency, a Tokyo-based general incorporated foundation. The agency aims to raise awareness of issues caused by global warming and revive an industry that has long been mired in the doldrums, by attracting more skiers from abroad.
In the 2022 Beijing Winter Olympic Games, held in February, the ski and snowboard venues used mainly artificial snow for competition.
Japan is one of the few areas in the world where there is sufficient snowfall for use in sports.
"Snow resources (in Japan) have scarcity value and we are in a geographically superior position," Minagawa, who is also involved in the management of a ski resort, said, anticipating that natural snow can be a major draw to attract foreign demand.
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