企業・学校献血、相次ぐ中止　「３日分」確保に奔走―コロナ禍、支援の動きも・日赤

　新型コロナウイルスの流行で、企業や学校などに献血バスを派遣する団体献血の中止が相次ぐ中、日本赤十字社は代わりとなる受け入れ先の確保に奔走している。輸血用血液の安定供給の目安となる「３日分」の備蓄を死守するため、民間企業に支援を求めるなどの取り組みを始めた。
　日赤の献血事業は、全国約１４０カ所にある常設の献血ルームと約２８０台の献血バス派遣が２本柱。コロナ禍でも献血ルームでは目標者数をほぼ達成できているが、献血バスは感染拡大を懸念するなどの理由で受け入れ先からの申し出による中止が相次いでいる。
　「第５波までは徐々に中止が広がる傾向だったが、第６波は全国で一気に広がった」。献血者数全体の３分の１を占める日赤関東甲信越ブロック（１都９県）の主査、松下麻依子さんは明かす。２月は、１月の倍近い１８３会場で中止に。「行き先を街頭に振り替えたが、外出控えや天候の影響で思うように人が集まらない」といい、バスでの献血者数は目標の９２．１％にとどまった。
　昨年１１、１２月には、それまで医療機関で控えられていた手術が再開されるなどして、輸血用血液の在庫調整を迫られる事態も起きた。「２月に入って手術件数は落ち着いたが、血液在庫の目減り分を補い切れていない」と松下さん。近隣ブロックから融通してもらい備蓄量を維持している。
　こうした中、献血バスを積極的に受け入れる動きも出ている。ユニクロを展開するファーストリテイリングは２月、関東甲信越の２２店舗で実施。東京都大田区の大森北店では同１８日、午前中から献血の順番待ちをする人の姿が見られた。
　定期的に献血をするという近くの主婦佐野浩子さんは「普段は川崎市の献血ルームまで行っていたが、ここだと子どもを幼稚園に預けて行ける」と話した。区内の医療専門学校に通う茨城県つくば市の森祐介さん（３２）は「学校の近くで行われていたので来た。力になれればうれしい」と笑顔を見せた。
　同社の社会貢献事業を担当する山口由希子さんは「今まで献血に来ていなかった人に参加してもらえている」と分析。「希望があれば他のエリアでも続けたい」と話している。（2022/03/13-07:06）

Many blood drives, in which buses with equipment for blood donation are sent to companies, schools and other places, have been canceled in Japan amid the spread of the novel coronavirus.
   The Japanese Red Cross Society's blood donation program has two pillars: about 140 permanent blood donation rooms nationwide and approximately 280 blood donation buses.
   While the number of visitors to donation rooms are almost at target levels despite the pandemic, there has been a spate of cancellations of offers to accept donation buses, due to concerns about the infection spread.
   "Cancellations gradually increased during the fifth wave of infections (in Japan), but they spread nationwide right away during the (ongoing) sixth wave," said Maiko Matsushita, an official at the society's Kanto-Koshinetsu division in eastern Japan, which handles about one-third of all donors in the country.
   In February, the number of donors via blood drives came to only 92.1 pct of the target, with the dispatch of donation buses canceled at 183 venues, nearly doubling from January.