2022.01.28 07:06Nation

サミット広島開催にハードル 岸田首相慎重「英仏拒否なら打撃」

 日本が議長国を務める来年の先進7カ国首脳会議(G7サミット)開催地の選定が、岸田外交の焦点となってきた。被爆地・広島の選出で、「核なき世界」実現をアピールしたい首相は地元開催に前向きとみられているが、核を保有する参加国全ての同意を取り付けられるかは不透明。表立って動いて調整が付かなければ失点になりかねず、首相は態度を明確にしていない。
 広島市の松井一実市長らは27日、首相を官邸に訪ね、「平和を象徴する都市・広島で被爆の実相を受け止めながら議論することは効果的だ」とサミット誘致を文書で正式に要望。開催には名古屋市と福岡市も手を挙げているとあって、首相は「複数候補地がある。きちんと調べる」と、「中立」の受け答えに徹した。
 首相は広島開催を目指すとは明言していないが、26日の衆院予算委員会でその意向を尋ねられ、「被爆地で被爆の実相に触れることは大変重要だ」と、各国首脳の広島訪問の意義を強調。「核軍縮・不拡散も大きなテーマだ」とも言及した。自民党中堅は「広島開催はそれだけでレガシー(政治的遺産)になる」と首相の胸中を推し量る。
 折しも、日米両政府が21日に発表した核拡散防止条約(NPT)に関する共同声明は、「政治的指導者に対し、広島、長崎を訪問するよう要請する」と明記した。2016年の伊勢志摩サミットに出席したオバマ氏の米大統領として初の広島訪問は、当時外相だった首相の尽力もあって実現しており、広島開催について外務省関係者は「米国には問題ない」との見方を示す。
 ただ、同じく核を保有する英国とフランスの意向は定かではなく、首相周辺は「英仏に断られたら大打撃になる」と懸念を隠さない。首相自身、広島開催なら「英仏は来ないだろう」と漏らしているとされ、水面下で可否を慎重に探っているとみられる。
 与党内も一枚岩とは言えない。公明党の政調会長は「広島は望ましいと思う。ぜひ実現してもらいたい」と明言。しかし、愛知県選出のある自民党議員は名古屋市の意向を踏まえ、「地元に国際会議を呼ぶなんてやり過ぎだ」と首相をけん制した。
 外務省は今月1日付で準備室を設置。首相はドイツ・エルマウでサミットが開かれる6月下旬までに開催地を決める。(2022/01/28-07:06)

2022.01.28 07:06Nation

G-7 Host City Selection Key Diplomatic Issue in Japan


The selection of the host city for the 2023 Group of Seven summit under Japan's presidency is emerging as a key issue in Prime Minister Fumio Kishida's diplomacy.
   Kishida seems to support the idea of holding the summit in Hiroshima, which includes his electoral district. The western Japan city, devastated by the 1945 U.S. atomic bombing, is viewed as an apt place as he wants to call for a world without nuclear weapons.
   It is unclear, however, whether Kishida will be able to obtain consent from all nuclear powers among the G-7 nations. Kishida has not yet made public his position over the issue.
   On Thursday, Hiroshima Mayor Kazumi Matsui visited the prime minister's office in Tokyo and submitted a written request that the summit be held in Hiroshima.
   "It will be effective to hold discussions in Hiroshima, a city symbolizing peace, while taking into account the realities of the atomic bombing," Matsui said.

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